第9話 心境の変化
~郡side~
私は、生徒会長として学園の安全を確固たるものにするため邁進してきた
でも、それが崩れてしまったのがあの通り魔事件
私は自分の身可愛さに、逃げることを選んでしまった
運悪く躓き、殺されそうになったところを
同じ学年の笹岡君に助けられた…
何が生徒会長だ!
こんなの、ただの恥さらしだ!
『俺みたいに家族を突然奪われる悲しみを背負わせたくない』
笹岡君が語った昔の話を語った後に言ってくれたあの言葉
家族を失っても、彼は前を向いて歩んでいる
私は、あの人の事をもっと知りたい
そしてゆくゆくは…
~赤阪side~
笹岡君が通り魔に刺されたと聞いたときは肝を冷やした
男女問わずにスキンシップをしてきた
彼と赤川君は言葉では上手く言えないけど、他の人と違う雰囲気があった
それに、二人といると不思議と落ち着いている自分もいる
あの事件が起きた後、笹岡君が死んだら嫌だと強く願ってた
こんなこと、今までなかった
もしかしたら、恋…
いや、そうではない感情…
もう、何が何だか答えが見いだせなくなってた
誰か、この答えを教えて…
~飛鳥side~
「はぁ~…」
部活の練習前、私は大きなため息をついていた
「こ~ら、キャプテンがそんなだらしない恰好するなんて、みっともないよ」
なつみが私の肩を掴んだ
「聞かれてたか…」
「あんなでかいため息が出りゃ聞こえますっての。どうせ、笹岡君の事でしょ?」
「なつみにはお見通しだったか」
「そりゃね。どんな話を聞かされたの?」
「それは―――」
「なるほどね、あんたがため息をつく理由も納得だわ」
「うん、自分でも失礼なことをしてしまったと反省してるんだ」
「で、今後もあの二人を誘うの?」
「いや、もうやめるよ。他の部員にも迷惑をかけてしまった…。だから、最後の大会も全力で挑む」
「それでいいのよ。ようやく、あんたらしくなってきたじゃない。でも、気を抜いてたら、私に負けるかもよ」
「…な、なつみには絶対に負けない!」
~一瀬side~
私は赤川先輩や笹岡先輩とは接点があまりない
でも、笹岡先輩は何だか放っておけないような気がしてならなかった
どうしてなんだろう…?
一つだけ確かなことは、嗅いだことのある匂いだ
接点があまりないのに、どうして匂いだけでそう判断できるのか不思議でたまらなかった
あの人と会ったことがあるのかと記憶を遡ってみても、全くない
誰か、この真相を教えてください…
~五十野side~
「…先輩は、いつ気付いてくれるの…?」
病院の帰り道、私はボソッとつぶやいた
ずっと気付いていたのに、先輩は私に気づこうとしない
いや、もう10年以上も前の話だから覚えていないのかもしれない
だったら、私がすべきことは先輩を振り向かせること
でも、郡先輩や赤阪先輩とかも狙っている可能性だってある
悠長にしている場合じゃない
色々とアプローチしまくって、私の事を気付いてほしい!
~大広side~
「笹岡さんが…ね」
学園内で、先の通り魔事件の事で持ち切りだった
でも、私には一切関係のない事
どんな出来事が起きようとも、私は全く興味がない
興味があるのは家族の事だけ
せめて、あと2年の我慢
それが過ぎれば、私は…
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