第31話 レバーオン撮影(2)?

 そのまま揃って裏口から店に入ると慣れたバッチさんを先頭に一塊の移動になる。

パチンコ側の派手な照明や装飾に下げられたポップを見ながら騒ぐリリは可愛いよ。


 はしゃぎ回るリリがヒカルに手を引かれて……うす暗いスロット側に誘導される。

パチンコ業界全体が縮小の一途でも中国から九州北部はそこそこ人気があるっぽい。


 しかも千台規模大型店に取材を絡める気合いの入れようで並びは数百人を超えた。

さすがに超大型版権のコインレス機……スマスロ主役は銭形4の全台が満席だった。



 そのままスマスロはスルーしながら空台探しのシマ移動中に突然声をかけられる。

「魔法少女リリちゃんが新台を大爆発させて伝説になれば嬉しいなと確保しました」


 のんきに伝える子デブくんとひょろいメガネ男は一昨日タイガーで見覚えがある。

「あぁそれやっちゃダメなヤツだよ……キミタチ出禁でいいけど演者は炎上すんの」


 冷静な態度と口調で……厳しい顔のまりもさんが子デブくんに強烈な警告だった。



 ほらあれって遠隔操作かお店が用意したサクラじゃね……と演者も叩かれる昨今。

怪しい都市伝説の尽きないパチンコ業界は昨今コンプライアンス面にかなり厳しい。


 いわゆるアイドル崩れの演者が……用意の指定台を打つだけでも炎上騒動になる。

バブル崩壊後の長い不況は令和時代に継続してなお且つウイルス蔓延で景気低迷中。


 パチンコの閉店ラッシュは終わる気配がないし攻略誌のいくつかは販売休止した。

少子高齢化社会が進む一方で親の介護まで老人たちが行うような状況を迎えた国だ。



 ほとんどの地域が一律等価交換になり高設定……甘い台などわずかな設置なんだ。

パチンコの爆発力が増す度に回転率は下がりながら……パチスロの一撃性は消えた。



 そんな状況で早朝から抽選してまで高設定を確保したい客層に演者は邪魔になる。

岡山の怪しい大花火はゲーセンだから許されて……弥生町タイガーは特殊交換率だ。


 こんな等価大型店……客が多数いる目前で怪しい動きをすれば一発大炎上になる。

様々な場所から応援してもらうリリの違法行為……恐らくそれが大問題に発展する。


「わざわざ遠い広島からリリの為こっちきて……わざわざ並んでくれてありがとね」


 殊勝な顔になるリリが男たちに近づくと目を合わせながら握手して感謝を伝える。

これらのファン交流もyoutube動画で生配信中らしくそつのない対応はいい。


 もめごとを極力避けながらクリーンにやらないとリリのブランド評価まで落ちる。



「まぁ動画映えとツラヌきがないけど爆発力なら五月十日は……ゴッドの日だよな。

5号機みたいな一撃の万枚はムリだけど……正統後継機ハーデスから行きましょう」


 うーんとうなりながら口元に指をあてて悩んだバッチさんがあわてて答えを示す。


 スマスロはコインレス対応で特殊台間サンド……通常のメダル機と異なる仕様だ。

その分も含めて周辺機器を合わせたシマ導入費用で改造に莫大な金額が必要になる。


 もちろん高設定だから爆発するわけでもないし低設定のまぐれ当たりもよくある。



 もちろん開発メーカーがユニバーサルエンターテインメントで販売ミズホになる。

正式な名称が『アナザーゴッドハーデス―解き放たれし槍ヴァージョン―』だった。


 こちらはメダル仕様の6.5号機でATと省略されるアシストタイムを搭載する。


 ジャグラーみたいなノーマルタイプとは違って天井のゲーム数が規定されている。

5号機時代より出玉性能は下がって2400枚プラスの時点で強制的に終了される。


 その反面……天井ゲームに到達する恩恵が跳ね上がることで爆裂化できたようだ。


 これはリセット時もしくは設定値を変更して1400ゲームの時点で発動になる。

設定値に関係なく発動する恩恵は全回転フリーズになりGODか冥王か紫7が揃う。



 AT中は1ゲーム辺りの純増が約2.9枚。千円50枚で平均33ゲーム回せる。

ゴッドゲームと呼ばれるAT初当り確率は6で1/244。1が1/511になる。


 機械割は6.5号機規制の中では抜群にすばらしく6で112%。1が98%だ。



 もちろん通常時でも内部的モードと成立した小役から毎ゲームの抽選が行われる。

基本的に通常時は左リールからの順押しが必須になり適当に止めても特別問題ない。


 リプレイ・黄7・チャンス目。レア小役の中段揃いが熱い(右上がり黄7含む)。



 大当たりの判定はAT直撃抽選による「液晶画面奇数揃い」「確定役」成立時だ。

また200ゲームごとにチャンスゾーン「ヘルゾーン」突入の抽選が行われている。


 特殊な成立役でも抽選「同一小役の連続揃い」「ヘルゾーン」でジャッジメント。

「ジャッジメント」突入でケルベロス・ペルセポネ・ハーデスどれかが選択される。


 これらの仕様から「GGゲーム」かならず上乗せ抽選して初期ゲーム数が決まる。

もちろんGG初期ゲームの消化中に成立役による上乗せ抽選が行われて結構増える。


 ツボにはまれば100ゲーム単位の大量上乗せを獲得できる爆発力は備えていた。


「バッチくんそれでいいじゃん。ハーデス叩きどころが満載でめっちゃ盛り上がる。

基本的に目押しは不要がいい。誰でも平等だからこそ引けたかどうかが結論になる」



 まりもさんの言葉にハーデスはすべてが収束される。爆裂機は究極的に引き次第。

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