次第に灯りが消えてくるディナー

登場人物の細かな設定や食事シーン他の描写もしっかりしていて、次の展開に目が離せない…のですが、物語の背骨が芸能界を中心とした人の『闇』で、更にはキャラクター全てが闇を抱え、話が進むにつれその闇が段々と色濃く感じてきます。

例えるなら、良い素材を丁寧に調理して美しく盛り付けてあるコース料理を、段々灯りが消え真っ暗になっていく部屋で、更に鼻をつまみながら料理の匂いも感じぬようにして食べなさい、と言われている様な感覚ですね(笑)

人物設定も一人一人深く丁寧すぎるぐらいにしっかり構築しています。でも、それを作者様が理解していても読み手にはハッキリと伝わりにくく、ルビがあっても設定の多さを読み解けない部分があり過ぎて、唐突な展開に戸惑う事もありますが、それを魅力と感じるか苦痛と感じるかは読み手次第だと思います。

食事シーンのほっこり感が作品の世界観の象徴…では無くなってきているのが辛いなぁ…と。

だからこれは、酸いも甘いも感じるラブコメとしてではなく、甘酸辛苦を飲み込む恋愛小説として受け止めるべき良作です。

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