第6話
「あーー……家、見たことないタイプの人ですか。まあ見れば分かるよ。たぶん面白いと思う。」
珍しく、丁寧語じゃない。
スタ、スタ、スタ…
「ふぅ…これが僕の家です。普段1人だから、掃除が行き届いてなくて、ちょっと見せるの恥ずかしいですけどね笑」
こ、これが…?家…?
私ができる最大限の想像、創造の100倍ほど素晴らしいものがそこにはあった。自分で切ってきたであろう木や石?茶色の石?を合わせて作ったその"文明の産物"は、とても私たちには想像ができないような物だった。
そして、明らかに1人で作れるような物ではない事もわかった。ダメだ、この人には勝てない。私は無意識に銃剣を落としていた。
「あっ!落としちゃうと危ないよ!なんか生き物いたらまずいでしょ!念のため護身用に持っておいてよ!重いし僕はゲンカンに引っ掛けて置くから!」
ちょくちょく理解できない言葉はあるが、まあいいや、とりあえず彼、イイダに敵意が無いことは明らかだ。私はひとまず信用し、イエの中に入った。ビーちゃんも少しだけ表情がこわばっていた気はしていたが、すぐに適応したようなので、良かった。
「えっと…なんというか私は中々上手い言葉が使えないのだが、とにかくこんな良いところに連れてってくれてありがとう、こういう時は…ビバヨクナイ!とか使うのかな。」
「………?ビバヨクナイ!って何?」
「あっ…ごめん。いや、昔の文明を知ってる人は私には到底理解できないような言葉を使ったりするから…」
ちくしょう。なんだよ、丁寧語を教えたじいさん。やっぱ騙してたじゃねぇか。
「うーーーん、ありがとうとかを、最大限丁寧に、感謝を述べるなら…」
「コウジンニゾンジマス。とかかな。まあ、あんまり僕の方から使ってくれ!って言って使うような言葉では無いけれど笑」
………丁寧語教えたじいさんは、何なんだったんだろうな……
「まあ、とにかく、聞きたいことあったら、何でも聞いて、とりあえず、水と米と塩しか無いけど、2人分。」
コメ…?ああ、確かそんなのあると聞いていたが、こんな感じなんだな、思ったよりツヤツヤしていて、柔らかそうな見た目をしている。
「まあ、僕は品種改良とかしてないその辺の米を育ててるだけだから、あんまり甘くは無いかな笑」
……品種改良……?コメをコメ以外にするってこと…?
まあいいや、まず毒とかはなさそうな見た目だ。確証はないが。とりあえず食べてみよう。
パクッ………
うっ………うまぃ……!?!?
いや……何というか……とにかくその辺の草とはまるで比べ物にならないし、甘くないとか言ってたけど普通に甘い…水分もしっかり補給できそうだし、炭水化物も高そうだ。すごい食べ物だ…
「パクパクパクパク」
「ハハハ…すごい勢いで食べるね。笑初めて食べたみたいな雰囲気して面白いなぁ、炊けばまだあるよ。」
「パクッ…えっ、まだあるんですか!?」
「うん、だって2年くらいは持つもん。」
えっ…………
最強じゃん……………
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