第5話
貨幣とか、資格とか学歴とか努力とか友情とか恋とか経験人数とか、この世界では何も意味がない。
どれだけの人がこの世界で死んでいったか…珍しく、そんな事に頭を巡らせていた。
……さーて!たまにはちょっと冒険してみる!ずっと同じ場所で食料取ってたらいずれ尽きるだろうし、山菜フィーバー的な所を見つけておきたいのだ。だから私は旅をする。よーーーし、がんばるぞー!
……ふぅ、とはいえ、初めての獣道はやはりカロリーも、エネルギーもゴリゴリ削られる。まあ、誰かが通った形跡があるだけで…
あるだけで…?
「そ、そこにいるのは誰、ですかっ!」
は
に、にんげん…?
「ちょ!ちょっと!銃剣しまって頂けないでしょうか!!私は貴方達を襲うつもりはございませんので!!」
て、丁寧語、だ…そして、武器も下に落とした。敵意はない、と言うところだろうか。
わかった。とりあえず、私も銃剣を鞄にしまい、襲う気は無いと、話した。
しかし、怖い。怖くて怖くてたまらない。今まで2度ほど人間に襲われた事があるからだ。まあ、相手は傷だらけ、文字通り素っ裸で突進してきたけれど…
……これ以上思い出すのはダメな気がするので、とりあえず彼?の言う事を信じる事にした。
何もない世界を、3人で歩きながら、色々話す事にした。
「いやはや…びっくりしましたよ。僕と同じで、ちゃんと服を着てて、自我も残っている"人間"なんて久々に見ましたから…」
「はは…私も久々に見たよ…」
久々に知性が残っている人と話すから、すっかり話し方を忘れてしまった。
「僕はイイダ、飯田って言います。下の名前は太郎なので、イイダって呼んでください。」
「ところで、あなた達の名前を、お聞きしても宜しいでしょうか?」
「あ〜〜〜………」
「…………」
「…………こっちは、ビーちゃん、しゃべれないの。」
「………………………?」
恥ずかしいな、恥ずかしいが、しっかり事情は話した。
「なるほど…名前を思い出せないんですか…」
「そ、そうなんだ。…だけど、親の名前を大切にしたい気持ちが、心の片隅に残っているから、仮の名前だとしても、名乗りたくは無い。我儘だが、許してくれるか?」
「いやいやいや!!全然問題ないですよ!!!この世界で生き延びてる人って、訳アリの人たち多いじゃないですか!!なので二人称で、あなたって呼びますから、それで大丈夫ですか!?」
「あ…はい。わかりました。」
「とりあえず、僕んち行きますか。そこで色々食べながら、お話しましょう!」
「ボ、僕ンチ…?」
「……あっ!すみません!僕の家に行くって事です!」
「…………?」
家…………?
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