第4話

「タイヘンモウシワケゴザイマセンデシタ!」

「キョウハイカガナサイマスデショウカ!」

「コウジンニゾンジマス。」

「ビバヨクナイ!」

「ゴヨウシャクダサイ。」


昔、昔、そのまた昔の常用語と聞いている。ただ、騙されている可能性は大いにある。だって2つくらい意味が一切わからないもん。「コウジン」と「ビバヨクナイ!」の2つ。他の3つも何でこんな配慮しなくちゃいけないのかようわからん。


まあ、"かつての世界"を経験したことのある人間と、ない人間の見分けくらいにはなるのかもしれないし、死にかけの人間しか見たことの無い自分が、かつての世界を経験した事がある人間と遭遇する確率なんて、けっこう低い。だからまあ、頭の片隅に、カロリーを使わない程度に、入れておこうかな程度に思っている。


さて……今日は山菜が少なかったぞぉ……どうしようか。いやだって、カロリーが必要だもんな。今すぐ死にはしないだろうけど、自分の年齢だって覚えていない。お嬢さんと呼ばれるからそんなに老けてはいないんだろうけど。

そんなことはいいや、栄養失調に年齢は関係ないだろうし。私が動けなくなったら、誰がビーちゃんを支えると言うのだろうか。ちゃんと私が、面倒を見てあげる

…という言い方は上から目線で嫌なんだけど、ちゃんと、彼女を食糧面で支えないと……

支えないと…


私の精神面が苦しい。


よし、まあ私は1日くらいなら断食しても平気だろうし、ビーちゃん、しっかり食ってね。大丈夫。あなたを恨んだことなんて一度もない、自分に嘘を吐きすぎて、どれが虚構で、どれが本当なのかわからなくなっていた自分にとって、唯一の正解が貴方な気がするんだ。まあ、会話が成立したことはないけれど…


「……………」

「ほら、今日の晩御飯!私は平気だから食べちゃって!」

「…………………………」


食べない。

何かいけないところがあっただろうか。2つほど思い当たる節がある。一つはいつもより少ないところ、もう一つは嫌いな食べ物を出しちゃったところ。

はっ…もしかして、彼女はお腹下しているところは見た事ないけれど、めちゃくちゃ観察眼が良い故にそういう体質に見えるだけで、私が毒を提供しちゃってるのかもしれない!!

やばい!!食っとかなきゃ!!!死ぬなら私が先に死ぬ!!死ぬならなるべく謎は謎のままで終わりたいのだ!!


そう思い、急いで食事をした。カロリーの無駄遣いだ。


「………」

「………ふぅ……食べ終わったよ!ほら!毒なんて無いよ!だからビーちゃんも食べ…」


あっ


やばいと考え、命懸けで山菜を取りに行った。不思議と沢山撮れて命を落とさずに済んだし、ビーちゃんはその後しっかり食べてくれた。


……うっすら感じていたのだが、ビーちゃんは私に配慮してわざと食べなかったのだろうか?まあ、いいや、謎は謎のままで終わりたいのだ。

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