第5話 冒険者ギルド
それで最初に戻るわけなのだが・・・
こいつ、クロエが見た目の可愛さに反して寝相が悪すぎて快眠して所、ベットから突き落とされていたりする。
「ぐぉぉぉ。」と声を上げながら睨んだりもしていた。
しかしちょうどいいことにそこに手鏡が置いてあったりする。
鏡で見れば竜のモンスターのような外観。
まるで異世界ファンタジーの世界に迷い込んだような?
いや、人間ではないから、生まれ変わったという表現が正しいのかもしれない。
普通なら人でないことに混乱するはずなのに混乱していないな、意外に冷静な自分がいる。
確か自分はと直前の記憶を思い出す。
「うう。」と頭を抱えながらも、こうなってしまったものは仕方ないと腹をくくるしかないと思った。
ゲームの世界のようならと考え〝ステータス〟と心の中で念じる。
テト(竜の子)LV1
状態 テイム 主人 クロエ・ラドルガ
経験値 等分
種族 龍種
職業 赤ちゃん竜
HPとか力とかMPとか色々表示される。
大体100くらいになっていたりする。
〝まぁ高いのか?〟そう言って首を捻ったりする。
まぁ次が一番大事なスキル?
スキル
鑑定
異世界言語理解
アイテムボックス
取得経験値増
眷属化
眷属化とかどうやって使うんだろうか?
とりあえず今は置いておくしかない。
近くに置いてある小物を中に入れたり、出したりしながらアイテムボックスの使い方を勉強する。
異世界言語はなんか会話とか聞こえてたし、勝手に使用になっている状況かな?
さて鑑定だけど、目をベットにいる少女クロエに向ける。なんか個人情報を読み取るようだけどまぁ仕方ない。
「ぎゃお(鑑定)。」と声を出して言う。
クロエ・ラドルガ
LV1 状態 呪い
ステータスが表示されるが、半減したりしている。呪いの影響だろうか?
さらにスキルが斜線が引いてあって見えない。修得しているのか?と首を傾ける。
と言うか呪いってヤバくねぇ。
よく見ると身体が熱くて苦しそうな顔をしていたりする。
どう、どうすればいいんだ?とあわあわと慌てていたりする。
ドタバタドタバタと音を出す。
コンコンとドアが叩く音がする。
「お嬢様失礼いたします。」音に気付いたのか、側使えのメイドが入ってくる。
入ってきた瞬間目が合ってしまう。なんか微妙な睨み合いの空気が漂う。
「か・・・。」
「ぎゃお?」と首を傾ける。
「可愛い。」と急に抱き締めてくる。
「ぎゃお。」と困った顔をした。
まぁ女の子に抱き締められるのは悪くはないってそうじゃない。
ジタバタし出す。
「うん?どうしたのかな?」
「ぎゃお。」そう言ってお嬢様を見る。
クロエお嬢様が苦しんでいる様子を見る。
「ああ、なるほど。」
近くに置いてあった水差しからコップに水を映し、何かの粉末を水に溶かしてゆっくりと口に運んでいく。
それをゆっくりと飲んでいくクロエ。少しずつ容態が落ち着いていくとそれに胸を撫でおろすスミン。
「こんな状態でなければ、レベルをあげて丈夫な身体を作れるのに・・・。」椅子に座って自分を抱っこしながらそんなことを言う。
「ぎゃお?」一体何のことを言っているのかわからない。
いや、ゲームで言うところのHPとか力とかが成長するみたいな感じならば、丈夫になるってことか?
経験値等分って書いてあったから、もしかしたら俺のレベルが上がると少女クロエのレベルも上がるってことかな?
「がお。」なんとなく理解した。
ついでだからと鑑定を発動する。
スミン
職業 メイド兼スパイ兼暗殺者
「ぎゃー。」とただ職業の覧を見ただけで思わず声を出してしまう。
若干震えたりする。
「どうしたの?」と見てくる顔。笑顔で可愛い顔の裏になんだか怖い顔を見たような気がする。ぶるぶる顔を振る。
なんだか少し嫌な汗が流れているような気がしてならない。
もう、スミンのステータスは視ないと心に誓った。
そうしてしばらく緊張で体感的に長い時間、抱き締められていたがクロエが落ち着いたのを確認する。
なんか俺を抱きかかえて持っていこうかどうか悩んでいたりもしていた。
いや俺はさっさとこのメイドスミンから解放されたいのだが・・・
ちょっと残念がってベットのそばに置いて、自分の部屋に戻って行った。
さて、どうするべきか?
なんか身体の構造を確認すると羽が伸びてきて飛べるっぽいのだが・・・
「ぐぐ。」と踏ん張ると何かが背中から生えてくるパタパタと動かすことができる。
パタパタパタパタ。
「ふんぎゅー。」とか言いながら飛ぶ。意外に必死だったりする。
なんとか窓際の台に降りてそこから窓を開けてゆっくりと外に出て窓を締める。
「ぎゃおー。」と気合を入れて。パタパタしながら、地面に着地した。
消えるように羽をしまって、辺りを見回すと地面が近いことに驚き。
これはいけないと立とうとする。どうしても猫背になってしまうしバランスが悪い。
「ぐぐ。」とまるで体の構造を変えるかのように作り変える。
猫背が改善して背が若干伸び、腕や足も伸び縮みする。
まるで軟体動物にでもなっているかのようだ。甲殻類なのだが?と変なことを考えているとやはり関節痛がひどい。
「ううううう。」とものすごい激痛が身体をかけめぐる。
こちとら一回死んでんだ。こんな痛みなんてどうと言うこともない!と強がって見せる。
そうやって意外になんとかバランスを取りながら立つことができた。
立つと50から60くらいかの身長になる?なんだか短足だが仕方ないだろう。
足の指と手の指の数も増えていたりする。何と言うか便利な身体と言うか。
「うぎぃうぎゃ。」と未だちゃんと喋ることができない。
ゆっくりと外に出ようと、門に近づくと幸い門番があくびしていたりする。
その隙に門をくぐり抜ける。
街中に出ると、瓦礫の山が所々に見えていたりする。テントなんか張られていた。
これは酷いと心の中で思い、それを口にすることはできない。
そんな瓦礫の山の中なんか一つだけ生き残っている建物がある。
看板には冒険者ギルドと書いてあり、せっかくだから入ってみるかと中に入る。
時刻は夜であり、中は酒飲みがたむろしているような場所だった。
飲み過ぎて倒れているのか、戦って怪我をしている人がいたりする。
「なんだありゃ?」
「ガキがたいそうな装備しやがって!げぷ。」
「あんな年齢で登録しに来たのか?ぐぴぐぴ」
「ばか、流石に依頼を頼みに来たんだろう。」
周りを見て鑑定を使えば職業と武器がまったくあっていなかったりしている。
僧侶がムキムキで剣持っていたり、剣持が魔法使いだったり逆にヒーラーが盗賊だったりとバラバラだ。
それに目を背けて俺は受付まで来た。
こちらを見下ろす受付の女にどう接していいかわからない。
なにかこういう時に話せればいいのだが、口を開いたらぎゃおと言ってしまいそうだ。
「坊やどうしたの?はぐれちゃったのかな?」と声を掛けてくる。
「ふはははは、そりゃいいぜ。俺がお母さんを見つけてやろうが?」
「ぎゃはははは。」と何が楽しいのか周りの冒険者が笑っている。
〝スキル念話を修得しました。〟
はて?えっマジ?とステータスを開いたら念和の文字が浮かび上がる。
うむ、不思議だが今はこのスキルに感謝するか。
「ぎゃお。」
〝いや違う。ああ、ああああ。〟といチューニングをする。
「えっ何?頭に声が聞こえる。」
〝すまん。依頼を受けたいのだが。〟そう念話を受付嬢に送る。
「あれ?今喋られました?」とか受付嬢が言う。周りの人間はそのことに気付いていない。何言ってんだ受付の女は?とか思っていたりする。
〝ああ、少し呪いでな。こんな格好になっているんだ。〟
「の、呪いー!」と大きな声を出してしまう。なんか後退りしていたりする。
「おい聞いたか?呪いだってよ。」皆が皆、俺から距離を取ろうとしている。
「ああ、大丈夫だうつる類のものではない。」否定するが受付嬢の顔は引きつっている。
「まずは冒険者登録から、これに名前と職業を書いてください。あと年齢も・・・」そう言って、用紙を出してくる。
さて名前を何にするか?流石にこの領にいるのにテトで登録するわけにもいかない。
その間に受付嬢も俺から距離をとっている。
そうだなーうんんんと悩んでいるポーズを取る。
後ろではチョコっと生えている尻尾が不思議に動いていたりする。
それを不気味に思う人達がいたりする。
ペンを持ちヘイロンと書いた。
ヘイロンは黒龍とか意味だったかな。まぁいい。
職業はファイターかな?と書いた。意外にも異世界語で書けるのが不思議だ。
竜だからか学習能力が高いのかもしれない。
武器とか何も持っていない。
身体の構造は固そうに見えるが・・・どうだろうか。
年齢は・・・前世のいやちょっと若いくらいにして22くらいにしておこう。
決してサバを読み過ぎているわけではないぞ!本当だぞ!
「年齢は若く見えますけど・・・?」と聞く。
〝呪いのせいだ!〟もうそう言う設定で行こう。
「そうなんですね。」とかわいそうな目で見られてしまう。
〝これでいいか。〟と差し出す。
「はい、受理します。こちら冒険者カードになりますので、失くさないように気を付けてくださいね。」
そう言ってFランクと書かれた厚紙のギルドカードを渡してきた。
〝紙製か。〟とペラペラな振るう紙でできたものが置いてある。
「はい、段々とランクが上がってきたら、プレートになってくるので頑張ってくださいね。」営業スマイルをする。
〝そう言えば、依頼は何処だ?〟
「Fランクなら、これとこれがいいと思います。」
そこにあったのは薬草採取とスライムの討伐だったりする。
〝取り敢えず薬草採取をお願いしたい。〟と出した。
「はい受理します。頑張ってくださいね。」と意外にも笑顔で接してくれる。
そう言って来る受付嬢の声を聞きながらギルドを後にしながら、アイテムボックスにギルドカードを放り込んだのだった。
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