817 新しい環境に適応して欲しい部分

 準決勝も勝ち進んだのは良いのだが。

その際に、相手側の先輩との賭けで『負けた方はなんでも1つ言う事を聞く』と言う項目に対して『負けたら、この会場でストリップしろ』っと言い出す飯綱ちゃん。


流石にそれは可哀想だと思った眞子は、これを上手く制止して、そのままホテルに向かって帰るのだが……


***


 ……っで。

そのままホテルに向って、飯綱ちゃんと2人で、のんびり帰って行くんだけど。

そこで、矢張り、先程の飯綱ちゃんの言動が気に成ったので声を掛け様としたら。


飯綱ちゃんが満面の笑みで……



「なぁなぁ、眞子。さっきはメッチャおもろかったなぁ。あの子、コートでワンワン泣いとったで」


こんな事を言い出す始末。



「いや、あの、飯綱ちゃん……それ、楽しむって、人として、どぉなの?」

「なんでやのさぁ?あの子が最初に、人の夢を、自分のエゴで壊そうとしたんやで。やからどう考えても、あんなん自業自得やんか」

「まぁ、そうなんだけどね。でもあれは、ちょっとヤリスギじゃない?」

「まぁね」


その言い方、絶対に反省してないよね。


だって、にやにや笑ってて、そんな反省してる素振りにすら見えないんだもん。



「それに、もし、私が止めなかったら、どうするつもりだったのよ?」

「へっ?そりゃあ勿論、あの場でストリップさせるつもりやったけど。なんで、そんな当たり前の事を聞くん?」

「いや、あのねぇ。それは、幾らなんでも、流石に可哀想でしょ。女の子に、そんな真似させたら、一生、心に傷が残るわよ」

「まぁねぇ。……そやかてなぁ。時と共に、えぇ思い出になるかも知れへんで。『あぁ、ウチ、此処でストリップしたんやなぁ』っとかって感じでな」

「なんでそんな発想に?……ってか、思わないでしょ、普通」

「そぉかなぁ?」


なんか感覚がズレてない?

普通は、露出癖でもない限り、絶対にあの場でストリップなんて嫌なんじゃないかなぁ?


まっ……まさか。

あの時の言動って、あの先輩さんを露出に目覚めさせるのが目的なんじゃないよね?


……怖ッ!!



「絶対に、そうだよ。だって、飯綱ちゃんだって嫌でしょ」

「いや、別にウチはなんとも思わんけど」

「えぇ……」

「って言うか、ウチみたいなチンチクリンのチンマイ子の裸見て喜ぶんやったら、別に、なんぼでも見せたんで」

「ちょ!!ダメダメ。飯綱ちゃん、お願いだからさぁ、そう言うのヤメテよ。自分をもっと大切にしてよ」

「なんでやの?別になぁ。裸見られてたからって死ぬ訳やないやろ。ウチのオカンも、そうやって、お金を稼いどってんから、なんも悪ないやんか」

「それは職業として、お金を貰ってたんでしょ。今の飯綱ちゃんの話だったら、誰でも良いみたいな言い方してるじゃない」

「いや、そう言うてんねんけど」


あぁ……意識が遠のいていく……


生き方の違いで、まさか、此処までの感覚の開きがあるとは思わなかった。


けど……



「じゃあさぁ。そう言うの辞めろって言うのは訂正するよ。……それに飯綱ちゃんが『女の体を武器』にする事も反対しない」

「ホンマ?ヤッパリ、眞子は解ってくれてるなぁ」

「あぁ、でもでも、ほんの少しで良いから、そう言う事をする前に、その行為が、本当に必要な事なのか、どうかだけは1度考えてみて。それだけは、お願いしたいな」

「うん?なんや?それって、ひょっとしてウチの事を心配してくれてるん?」

「あぁ、うん。……ちょっとだけ」

「ふふっ、大きなお世話やわ。眞子には前にも言うたけどなぁ。ウチは、人の話なんかには基本的に興味ないねん。なんでも自分で判断して『良し』『悪し』も自分で決める。アンタはな、干渉し過ぎやねん。……そう言うの鬱陶しいわ」


ダメかぁ……


確かにね。

飯綱ちゃんには可愛い女の子になって貰おうと思ってる所は大にしてある。

だってさぁ、こんなに可愛い子が、自分で価値を落としてたんじゃ勿体無いじゃない。

それになにより、そう言う安易な行為って、後々の人生で色々な障害に成りかねないの事象だしね。


そう言うのだけは……あって欲しくないだけなんだけどなぁ。


解んないかなぁ?



「ごめん……」

「ハァ……あのなぁ、眞子。そらな、アンタみたいな子が、ウチみたいな真似をしたら絶対にアカンけどや。ウチは、生まれ付いての、こう言う性分なんよ。そやから、それを否定すんのはヤメテんか」

「そぉかなぁ?飯綱ちゃんだって、ちょっと破天荒な所はあるけど、普通の女の子だと思うんだけどなぁ」

「普通かぁ?どう見ても異常やんか」

「そんな事を言ったら、私だって異常じゃない。私は、崇秀に頼まれたぐらいで、満席の横浜アリーナで演奏する様な女だし。なにも考えずに、全米ツアーに行ったりする女だよ。そう考えれば、飯綱ちゃんより酷い異常者だよ」


この辺については、崇秀に真正面から言われたので自覚しました。



「あぁ、確かに、それは異常やわね」

「いや、あの、そこは……出来れば認めないで欲しいんだけど」

「あぁごめん、ごめん、気にしてたんや。ホンマごめんやで。……そやけどなぁ。眞子の異常性って言うのは、比較的えぇ方向の話やろ。言うなればチャレンジ精神の現れや。それに比べてウチなんか、ただの『ヤリマン』やで」

「それは、育って来た環境の違いでしょ。一般に言われる『普通の家庭』に育ってれば、飯綱ちゃんも、そうじゃなかったと思うよ」

「そやけど現実は、こうやねんから、しゃあないやん」

「でもさぁ。元を正せば、それって住む家が無かったから、そうせざるを得なかっただけなんでしょ。だったら、もぉ家があるんだから、そう言う事をする必要性がないんじゃないの?」


環境が変わったんだから、新しい環境に適応してみないかな?

いつまでも過去に縛られてたんじゃ、なにも変わらないと思うんだよね。


これ……実体験。



「う~~ん。言い得て妙ではあるんやけど。もぅ既に、そう言う癖が付いてもうてるからなぁ。中々辞められへんと思うで」

「だから、さっきから、ゆっくりで良いって言ってんじゃん。まぁ、飯綱ちゃんが、どうしても『普通に成るのが嫌だ』って言うなら、金輪際、この話はしないけどね」

「普通かぁ。……難しいなぁ。そう言う定義自体をウチは持ってへんからなぁ。まずにして、なにをしてえぇのかすら解ってへんし。それをしたら、したで、ウチの個性が無くなる様な気がする」

「あぁ、そうじゃなくてね。ゆっくりでも良いから、なにが良くて、なにが悪いかを考慮しながら、上手く自分の中で融合していけば良いんじゃないかなぁ」

「眞子はなぁ。そうやって直ぐに難しい事を言うやろ。そやけど、そんな簡単に出来るんやったら、ウチかて、とっく昔にやってるわ」

「じゃあ1人で無理なら、私と一緒にやって行こうよ。私だって異常者なんだからさ。異常者同士で必至にもがけば、なんか変わるかも知れないよ」


常識の問題は、真上さんとか、美樹さんに教えて貰うとして……


お互いのダメな所の指摘だけでも……どぉ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


バスケの試合には勝利したものの。

矢張り、その場での飯綱ちゃんの言動が気になった眞子は、色々今後の生活について話しているみたいなのですが。


今まで、そう言う生活をズッとやってきた飯綱ちゃんは、中々理解されませんね。


変な話『楽で悪い事』ならば、直ぐに人間は食い付くのですが。

比較的面倒でも『良い方向』に相手を向けようとした場合は、これまた中々了承が得れないのも事実ですからね。


なので此処からは、更なる眞子の提案が、飯綱ちゃんに向けて発信されるのですが。

次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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