814 友好的な前哨戦
真上さんとの「倉津君論争」も綺麗に終結し。
翌日、再び試合会場に向かう眞子と真上さんの2人だったが。
果たして、準々決勝、準決勝と勝ち上がれる事が出来るのか?
***
……っで、午前中から早速準々決勝が始めるんだけど、先発の3人が交代する事無くアッと言う間に撃破。
まぁまぁ流石に、準々決勝に上がって来るだけの事は有って、多少の歯ごたえはあったみたいなんだけど36:24っと、結局は10点差以上の点差が開いている。
どうやら、この3人……まだまだ余力を残しての勝利の様だ。
それを証明してるセリフがあってね。
今日会場に来てから、飯綱ちゃんに『私は出なくて良いの?』って素朴な質問をぶつけてみたところ。
まぁ、心の中をブッチャけると『私は必要ないのかな』って思っての質問だったんだけどね。
すると飯綱ちゃんは、満面の笑みで……『えぇよ。眞子は、今の内に、十分、体力を温存しとき。アンタはなぁ。準決勝の為の『秘密兵器』やから。相手には、まだ、なんも知られたないねん』って、言ってくれた。
『一体、私のなにが秘密兵器なんだろうか?』っと言う、一抹の不安を抱きつつ。
裏を返してみたんだけど。
この時に飯綱ちゃん口から出たセリフが、準々決勝での『勝利を確信していた』事だけは、確実に証明されていたと思う。
***
……さてさて、そんな楽勝ムードの三回戦を、さっさと終わらせてですね。
いよいよ、決勝の舞台を賭けたセミファイナル。
準決勝の試合が、とうとう始まる訳なんだけどね。
此処は、大方の予想に反する事無く。
大会ト-ナメントで、この準決勝の舞台に上がってきたのは、飯綱ちゃんが挑発し、勝負の賭けに持ち込んだ『ファラリス女子3年生チーム』
あの廊下で正座をさせられていた選手達の、所謂、先輩の人達だね。
……っで、なんか、そんな相手チームが、会場に入って来た時に思った事なんだけど、彼女達のチームは、前回の優勝者だけに『人気が高い』のかして、結構な熱量が彼女達に向けられ、会場も同時にヒートアップしている。
それになにやら、昨晩の内に、ウチのチームの対応策でも講じて来たのか、妙な余裕の表情さえ浮かべている様子。
まぁそうは言っても、ウチとしては、おかしな策謀を立てるのは飯綱ちゃん1人で十分。
真っ向からの正面勝負でも負ける気がしないので、相手方と違って、そんなに、なにも考えなくても大丈夫なんだけどね。
なんせ飯綱ちゃんが、この試合に望む前の休憩時間に『ある秘策』を授けてくれたからね。
そして、その最初の一手を、試合前に整列の時に、飯綱ちゃんが打ちはじめた。
矢張り、これをすると言う事は、試合前の心理戦は、飯綱ちゃんにとっては大切な事なんだろうね。
「なぁなぁ、綺麗なおネェちゃん。おはよぉなぁ。どや?昨日は、よぉ寝れたか?」
「えぇ、お陰様で。アナタが地面を這い蹲る姿を想像して、ぐっすり眠れましたわ」
「そぉかぁ。それはえぇこっちゃなぁ。ウチはなぁ、アンタとは、絶対にベストコンディションで試合をやりたかったから、それを聞いて安心したわ。お互いベストを尽くして、えぇ試合にしよな。アンタと試合出来んのはメッチャクチャ楽しみやわ。ワクワクするわ」
「えっ?……なにをおしゃってるの?アナタが負けたら、公衆の面前で土下座しなければならないんですよ。それを、わかってらっしゃるの?」
「そんなもん、重々に承知してるよ。そやけどなぁ。それは賭け事をしてんから、今更、免れへん事や。……それにやなぁ。そんな小さい事よりもやなぁ。ウチは、アンタみたいなバスケの上手い子と勝負出来る事の方が、ホンマ楽しみでしゃあないねん」
飯綱ちゃんは、無邪気に満面の笑みで話し続ける。
一見見た感じでは……本当に楽しそうな雰囲気を醸し出している。
……でも、それは裏を返せば『飯綱ちゃんが何を考えてるか解ったもんじゃない』って、話でもあるんだよね。
あの笑顔の下では、一体、どんな恐ろしい事を考えている事やら。
「楽しみって……あっ、あの、なっ、なんでしたら。この間の約束は無かった事にして、さし上げても宜しくてよ」
「あぁ、おおきになぁ。そやけど、それは遠慮するわ。何事にも張り合いが無いと、おもしろないからね。もし、ウチが負けた場合は、潔くコートで土下座でもなんでもするわ」
「本当に手加減無用って事で宜しいの?……最後のチャンスなんですよ。これを逃すと後悔しますわよ」
「ふふっ……させてみ」
「いっ、言いましたわね。では、キッチリ後悔させて差し上げますわ」
「うんうん、楽しみにしてんで」
あぁ……なんか、友好的に話が成立してるみたいだけど。
それに、握手までして、妙に2人して楽しそうなんだけど……
でも……それ、多分『罠』だよ。
飯綱ちゃんは、事、勝負事に対しては、なにがあっても勝たないと気が済まない主義。
それに本人の言った通り、本当に『手段を選ばない』子。
今話してる対戦相手の子が思う様なスポーツマンシップ溢れる……甘い子じゃないんだけどなぁ。
少しでも隙を見せたら、的確に、そこを突いて来るよ。
けど……今の友好的な飯綱ちゃんの姿を見て、それを理解しろって方が酷ってもんだよね。
可哀想に……合掌。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
いつもなら、もっと酷い煽りを相手に掛ける筈の飯綱ちゃんなのですが。
何故か今回に至っては、やけに大人しめの態度で、事を終えたみたいですね。
果たして、此処にはどんな意味があるのか?
そして『眞子が秘密兵器』だと言った飯綱ちゃんの真意は、一体、どう言ったものなのか?
次回はその辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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