809 アウェーの雰囲気を変える人心掌握術

 一回戦から前回の準優勝チームと当たってしまった眞子達。

されど、それを覆すが如く、飯綱ちゃんが試合前に口上戦や心理戦を仕掛け、相手の冷静さを奪い。

更には試合中も、実力差を見せ付けるが如く、ド派手なプレイを続けていたのだが……まだ、それでも相手を沈み切れていないと思ったのか、更に、何か企んでいる様で……


あっ、因みに主人公はベンチを温めてます(笑)


***


 その怪しげな練習の成果は、まず飯綱ちゃんが、真上さんに普通のパスを出す事から始まった。


そして、そのパスを出す同時に、飯綱ちゃんは、さっき以上のスピードでゴール下まで走り込み。

それを確認した真上さんは、さっき同様、ふわ~~~とした誰にもボールには触れれない様な高いパスを出す。


すると当然、先程の飯綱ちゃんのシュートが鮮明に残ってる相手選手は、それを阻止しようとジャンプする訳なのですが……



「そう、何度も同じ様な手を喰うかぁ!!」

「ふふっ……なにがやのん?」

「なっ!!なんだコイツ!!私より高いだと!!」

「残念やったね。……またどうぞ」


相手方のリンダって人と、飯綱ちゃんは同時に飛び上がった筈なのに。

その相手とでは、飯綱ちゃんのジャンプ、瞬発力、高さ共に、まるで異次元なぐらいに違う。


あんな小さな身長なのに、明らかに相手より高い位置までジャンプしている。


なので真上さんの高いパスにも、先に触れたのは飯綱ちゃん。

そして相手を嘲笑うかの様に、それをそのまま、またしても空中でキャッチする……んだけど。


今度はそのまま自分でダンクをせずに、ゴールボートに思い切りボールを投げ付け。

跳ね返った勢いで、ボールを、一旦、後ろに戻す。


すると、そこに美樹さんがワザと遅れて走り込んで来ており。

飯綱ちゃんの時より大きな音で『ガコ~~~~~ン』っと、ゴールマウスにねじ込む様に『豪快なダンク』!!


これでスコアは9:2。


……っは、良いだけどさぁ。

ホントなにしてるんですか、この人達?



「「「「「わぁ……わああぁぁぁぁ~~~~~~!!超エクセレントゴール!!なんだよこれ!!オマエ等、NBA出身かよ!!」」」」」

「……って、オイオイ、しかもよく見たら、あれって。今、ダンク決めた奴って、ジャパンGUILD所属の【Fish-Queen】の美樹じゃないのか?めっちゃ似てんだけど?」

「はぁ?なんだ?誰だよ、それ?」

「なんだよ、オマエ知らないのかよ?【Fish-Queen】言やあ。【Nao with GREED-LUMP】の向井奈緒の知り合いで、日本じゃメジャーデビューしてる超有名なダンスユニットなんだぞ」

「向井奈緒の知り合いだって?ほっ、ホントかよ。じゃあ、試しに呼んでみっか……みっ、美樹!!」

「うん?」

「うわっ!!マジであの子、反応した!!おぉ、みんななぁ、今のゴール決めたの【Nao with GREED-LUMP】の向井奈緒の知り合いの【Fish-Queen】の美樹だぞ!!」

「えっ?マジかよ!!……美樹ちゃ~~~ん!!」

「うっ?うん?」

「「「「「美樹!!美樹!!美樹!!美樹!!美樹!!美樹!!美樹!!美樹~~~~!!」」」」」

「なに?なに?なに?」


観客の皆さんの声援に動揺してるみたいですが、どうやら美樹さんの正体がバレちゃったみたいですね。


でも、これも今後の試合には影響を及ぼしそうな雰囲気。

なんと言っても、基本的に人間と言うのはミーハーな生き物ですから『有名人』っと言う言葉には非常に弱く。

ちょっとでも相手が自身が知ってる有名人だと、無意識に応援してしまうと言う習性があったりしますからね。


その上、これだけのド派手なパフォーマンスを繰り出されたのでは、真上さん、飯綱ちゃんに引き続き、もぉ美樹さんにも注目せざるを得ない。


これでもぉ、完全に個々がアメリカだと言うアウェー感は消えてなくなった筈ですからね。


いや寧ろ、もぉホーム状態。


……っで、まぁ、そんな訳ででしてね。

この後もですね。

更に、観客の皆さんを味方に付けた私達のチームは勢いを増す一方。

何発も、何発も、観客の皆さん声援に応える様な魅了的でド派手なゴールを連発で決めて行き。


その度に、私達のチームには大喝采を浴びる事になりました。


……ただ、そうは言ってもね。

相手方のチームがボールを持つだけで大ブーイングするって言うのは、流石に、どうかと思いますよ。

せめて同じアメリカ人なんだから、ちょっとは応援してあげても良いんじゃないかなぁ?


前回の準優勝チームなんだしさ。


まぁそんな事を思いながらも、呑気に試合を見てると、気付いた時には、一回戦のゲームが、もぉ完全に終わっていた……


しかもそのスコアーって言うのが……42:20

……っと言う、見事なまでのダブルスコアー以上の点差で試合は終了してしまいました。


勿論……この結果に貢献したのは先発のお3方だけですので、私の出番が1分たりともなかった事は言うまでもありません。


飯綱ちゃんじゃないけど……『なにしに来たんウチ?』


……まぁ、そうは言ってもですね。

こうやって皆さんのお陰で、一回戦敗退は免れる処か、観客の皆さんまで味方につけたんだから、別に良いんですけどね(苦笑)


***


 ……そんな感じで相手のリズムを完全に崩し。

自分達のペースに巻き込んで勝利した私達だったのですが、此処で次の試合の選手が入って来たので、一旦、コートから退いた。


その際には、次の私達の試合への期待が掛かってるのか、異常なまでの大歓声を浴びてコートからの退場となった。


まぁ、なんて如何にも何かした様な偉そうな事を言ってる私なのですが、やっぱり私は、この試合ではなにもして無いんですけどね。


まぁまぁ、そうやって1度、みんなで廊下まで引き上げた後。

二回戦までの時間が結構あるので、意味もなく飯綱ちゃんとトイレに行く事にした。



……するとね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


飯綱ちゃん、果てしなく策士ですね(笑)

まずは真上さんの3Pや、自身の有り得ないダンクなどで、観客を魅了した所で。

トドメとばかりに『有名人の美樹さん』に超ド派手なダンクを決めさせる。


そぉ、そぉなんです。

飯綱ちゃんは段階を踏みながら、自身のチームの知名度を上げて行き、此処をまるでホームの様な環境に持って行った訳ですね。


これぞ、人心掌握術!!

人間は、目の前で起こってるエンターティメントには非常に弱いので、こういう段階を踏む事で人心掌握が出来る訳なんですよ。


まぁ勿論……こんな事は『実力がないと出来ない』事ですけどね(笑)


さてさて、そんな中。

爽快に終わらせた試合後、飯綱ちゃんと二人でトイレに向かった眞子なのですが。


次回は此処で、とあるアクシデントが発生します!!


実際、バスケの試合の話だからと言って、バスケの試合だけを書いていてはリアリティがないですしね。


ってな訳で、次回はそのアクシデントについて書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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