808 電撃!!奇襲作戦!!
大会が始まり一回戦、相手は前回の準優勝チーム。
だが、この一見不利に見える対戦相手も、その前哨戦である口上戦で、飯綱ちゃんが相手を圧倒。
そして、相手の動揺を誘った上で試合が始まるのだが……
***
……ってな訳ですね。
物凄く険悪な雰囲気の中、私がベンチを暖めた状態で試合が始まるんですがね。
ボールトスが行なわれる前から、コートの内では、既に、さっきにも増して殺伐としたした空気が満ち溢れ、最上級に険悪な雰囲気を醸し出している。
特に、あの飯綱ちゃんによってファールを取られたリンダって人に関しては『飯綱ちゃん、本気で踏み殺す勢いじゃないの?』って気配する感じられる。
『ピィ~~~』
……っと言う笛の音と同時に、天高くボールが投げられる。
「おらぁ~~~!!」
「くっ……」
本来なら、初手になる此処でボールのイニシアチィブを取りたい所なんだけど、美樹さんよりも、相手の方のリンダって人が10cm以上も身長が高く。
流石の美樹さんもボールには及ばず、先に相手方の手にボールが当たる。
……けど、そのボールの落下地点には、それを見据えていた真上さんが待って居た。
一早く、そのボールに反応して、相手方よりも素早くボールを奪い。
真上さんは、なにを考えたのか、センターサークル付近からイキナリ『3P』を放つ。
「はぁ?なに考えてるんだ、この女。頭おかしいんじゃないの?折角のマイボールだってのに、そんな所から……」
『パサッ』
開始早々。
真上さんの3Pが、ゴールマウスまで綺麗な弧を描き。
ボードにすら当たる事無く。
まるでそこに入るのが自然の摂理な如く、完璧にゴールネットの中にボールは吸い込まれていった。
この大舞台で……なんて人だ。
しかも真上さんは、投げた瞬間に決まる事を想定していたかの様に、即座にディフェンスの体制すらとっている。
これで……3:0。
「なっ……」
「奇襲作戦成功やなぁ、真上!!ナイスやで真上!!いつも通り、キッチリ絶好調やね」
「あぁそんな、そんな。今のは偶然ですよ偶然」
「なに言っちゃってるのよ。いつも、何所からでも、そうやって3Pを入れるじゃない。この天才」
「そんな、塚本さん、今のは本当に偶然なんですよ」
「コイツ等……」
相手方は、訳も解らない間にゴールを決められたので動揺が走る。
でも、この奇襲作戦には、まだ続きがあって、その程度の動揺では終わらない。
次のボールは、当然、相手方からのスタートになるんだけど。
イキナリ、センターからの3Pゴールに驚いて、自分達のリズムを崩してしまったのか、ゴール下まで持ち込む事も出来ず。
その道中で、アッサリ真上さんにパスコースを先読みされ、簡単にスティールされる。
そのボールを、真上さんが持った瞬間。
「なっ!!」
「真上、コッチやで!!はよ頂戴!!」
「わかってる、飯綱!!周りは気にせず行って!!」
「はいはい、任せときぃ!!もぉ一丁ゴールは、いただきやで!!」
『ガコ~~~ン!!』っと言う、激しい音が会場内に響き渡ると同時に。
飯綱ちゃんが、あの例の有り得ない高さの『ダンク』を決めて、プラプラとリンクに飯綱ちゃんがぶら下がっている。
開始数秒で、早くも5:0。
「「「「「・・・・・・」」」」」
その電光石火の攻撃に、一瞬、会場内が完全に静まり返るんだけど。
それを認識した観客の皆さんが……
「「「「「……わあぁあぁ~!!なんだアイツ!!なんかすげぇぞ!!あのチビ!!」」」」」
「馬鹿な……あの身長で、あの高さのジャンプは有り得ない……」
「よいしょっと」
リンクから宙返りをして、地面に着地する飯綱ちゃん。
彼女は、そんなエンターティメントな心すらも忘れていない。
ってか、ドンだけ余裕なのよ?
「「「「「ぴゅ~~~!!ぴゅ~~~!!」」」」」
「やぁやぁ、どうもどうも、みんな、ウチは飯綱やで。宜しくなぁ♪声援してくれたら、次は、もっとド派手にゴール決めたるでぇ!!」
「「「「「行け行け!!チビッ子!!もっと面白いもんを見せてくれよ、飯綱!!」」」」」
「おおきに、おおきにな。ほな次も、ご期待に、お応えするわ」
相手方が呆気に取られてる隙に、観客の皆さんにアピールまでしてるよ。
本当にドンだけ余裕があるのよ?
底が知れない……
それに、このアピール1つで、この会場全体が、本来は完全なアウェーな環境な筈なのに、まるで自分のホームの様に持ち込んでる。
飯綱ちゃんは、今の一撃で、完全に観客の皆さんを自分の味方に付けた。
これは自分優位に試合運びをする上で、かなりの精神的な負担を減らす筈なので効果は大きい。
……っで、再度、相手方のボールでスタートするんだけど。
此処で早くも、さっきの飯綱ちゃんのプレイに感化された観客の皆さんから、会場一杯に広がる様な凄いブーイングが起こる。
「「「「「このアメリカの恥晒し!!前回の準優勝のクセに、なに点数ガンガン入れられてんだよぉ!!下手糞!!オマエ等なんぞ、飯綱に、とっと奪われちまえ!!」」」」」
「「「「「ブゥ~~~~!!ブゥ~~~~~!!」」」」」
「くっ……なによ、これ?」
「うくっ、罵声なんか気にするな。……それよりジャネット!!もっと、ゴール下まで走り込んでよ!!」
そう言った瞬間、結構、早いパスを出すんだけど……
『パシッ』
「ごめんなさい……それは通せません。戴きますね」
「ちょ!!……なにやってんのよ、リンダ!!そんな不用意なパス出して!!」
「うくっ!!あんたが、ちゃんと取りに来ないからでしょ!!」
真上さんが、パスコースを完全に読んで奪い取った。
「ディフェンス戻ってない。……飯綱『ラン&ガン』ゴール下まで走り込んで、派手に決めて!!」
「おっしゃ、おっしゃ、えぇパス頂戴やぁ。……ド派手に決めたるでぇ」
ふわ~~っと、天高く浮いたパスを、その軌道上に合わせて飯綱ちゃんがジャンプ。
そして、長い滞空時間の中。
そのボールを器用に空中でキャッチしたと思っていたら……
『ガコ~~~ン』っと、再びゴールに叩き込む豪快なダンクを決めた。
これは……凄いコンビネーションだ。
まるで漫画みたい……
序盤の序盤で……もぉ此処で7点差が付いた。
「そっ、そんな……そんな、馬鹿な……」
「「「「「わぁあぁぁぁ~~~~~ッ!!エクセレントゴール!!」」」」」
「「「「「すげぇぞ、飯綱!!まるで羽が生えてるみたいだぁ!!」」」」」
「当然やん。ウチは伝説の生き物、天狗様やで。アンタ等には見えへん羽が、背中には生えてんやで」
「飯綱!!天狗ってなんだぁ?」
「ふふっ、その辺は、GUILDのWEBでもチェックしてんか」
「「「「「はははっはははっは……なんだよ、それ?」」」」」
一足一手のプレイが超ド派手なだけに、一気に飯綱ちゃんの人気がブレイクしてるね。
それにしても、相変わらず解りやすいよね……アメリカの人って。
この状態って、以前に私が、アメリカでライブをやった時と同じ状態だもんね。
これだけ明白に、良いものにだけは好反応する気質の人種も珍しいよね。
……っで、この後、飯綱ちゃんが遊んでる間に、敵チームの人が、この隙を一気に突いて、ランニングシュート事バスケの基本であるレイアップシュートを1ゴールを決めて。
7:2になる。
でも、そのゴールに対しても会場内は、嵐の様なブーイングが起こる。
「「「「「ぶぅ~~~~~~!!ぶぅ~~~~~~~!!なんだよ、それ!!」」」」」
「「「「「セコイシュートしてんじゃねぇぞ!!ダンクやれよ、ダンク!!」」」」」
「「「「「オマエ等、体がデカイ癖に、やる事が、ショボイんだよッ!!」」」」」
「「「「「飯綱を見習って、派手な事してみろよ!!ツマンネェなぁ~!!」」」」」
「得点を入れて、ブーイングって……」
「まぁまぁ、そぉ怒りなって。ウチが、もっと、おもろいもんを見せたるさかい。……行くで真上、美樹。あれやんで」
「あぁ、はい」
「あれ……マジでやるんだ」
なにをするんだろ?
さては、この様子じゃ、私の知らない所で、またなんかロクでもない事を練習してたな。
もぉ、何を企んでるんだか……
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さい、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
エグイ攻撃力、エグイ防御力。
そして、飯綱ちゃんと真上さんが奏でる絶妙なコンビネーション!!
ぶっちゃけ、この2人は主人公クラスの力を持ってますね。
っで、当物語の現在の主人公である眞子は、呑気に解説をしながらベンチを温めている訳なのですが。
実際、飯綱ちゃん、真上さん、美樹さんの3人に関しましては、眞子とは実力が圧倒的に違うので、こう成っても仕方はないですね(笑)
これが現実ってもんです(笑)
……っとは言え。
此処で主人公の眞子が何を学ぶかによって、今後が変わって来るのも、これまた現実。
そう言う部分で強かな人間ほど、今後も大きな成長をして行く訳ですからね。
さてさて、そんな中。
これで、相手が完全に格下だと判断した飯綱ちゃんは、またロクデモナイ事を企んでいる様なのですが。
一体、彼女は、何をやらかそうとしているのか?
次回にその機会があったら、そこを書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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