807 試合前の前哨戦

 まずは【Bash-freaks festival】に参加するまでの練習について語られました。


さてさて、この練習の成果は、きっちり試合の中で現れるのか?


***


 ……そんなホテルでの関係ない話も含めまして。

シカゴで行なわれる『Bash-freaks festival』が開催されます!!


まぁ、前説で私がレポーターもどきの事をしてた直後に、無駄に華やかに開会式が行なわれ。

そこからは係員の方に従って、男女や、年齢別のコ-トに分かれて行く訳なんですよ。


それで私達は、第二会場の中学生~高校生までの『ジュニアの部』Bブロック、Cコートに移動した。


……っで、此処に来て、初めて、今大会『Bash-freaks festival』のトーナメント表を見たんだけどね。


Cコート第一試合での私達の相手は、抽選の関係上しょうがないとは思うんだけどね……イキナリ強豪の『優勝候補の一角』との対戦だったりする。


なんとね。

今回の一回戦の対戦相手は、ファラリス女子高校2年生と言うチームで。

日本で言うインターハイに出ている様なチームの方がメンバーに2人も居るのよね。

しかも、平均身長が180cmぐらいの大型選手を揃えた、去年の準優勝チームだってさ。


これじゃあ、日本からワザワザ来たのに……一回戦で消えたりしてね。


ははっ……笑えない。


まぁまぁ、そうは言ってもね。

私は、真上さんと、よく似たプレイヤーなので、先発で出る事も無く。

ただの『控え選手』だから、意外な程にお気楽に構えてますよ。


***


 まぁ、そうこうと荷物を会場に置いてる内に審判の方から集合の合図が掛かって、縦一列に並びながらセンターサークルに集まって行く。


私達が、そこまで仲良く走って行くと。

相手の選手が、コチラを見ながらニヤニヤと薄ら笑いを浮かべて、こんな事を言って来たの……



「チッ……日本のチビ猿共が、此処になにしに来たんだい?まぁけど、こりゃあ明らかに楽勝だね。ラッキー」


あれ?

このなんかブサイクな巨人、今、私達に向かってなんか言った?


なんか言ったよね?


って言うか。

ウチの選手は、みんな英語が解るから、その口汚い挑発の内容は丸解りなんですけど……そこを解ってる?


流石に、この行為にはイラッと来たので、私が、その挑発にコソッと乗ろうとしたら……飯綱ちゃんが、私を制して、なにやら言い始める。


出た、悪魔の特攻隊長!!



「そら、良かったね。ほな、そのチビ相手に恥掛かん様に精々頑張りや、ブサイクな巨人さん。ところで、その変わったお面って、どこで売ってんの?ウチも記念に買って帰るわ」

「なっ、なんだとぉ、このクソチビ」

「なにって?ブサイクさんに、ブサイクさんって言うて、なにが悪いん?アンタなぁ、多分、スポーツ出来ひんかったら、ただの可愛げのない巨人やで。可哀想になぁ。誰にも女として見られへんねやろうなぁ。可哀想、可哀想やねぇ」


あぁ……相手を、完全に馬鹿にした挑発をし返した。


流石、飯綱ちゃんだ。

あれだけの身長差が合っても、全く怯む気配が無い。


根性も、肝も、相当に据わってる。


良い度胸してるよ。



「このクソチビ!!一回、蟻みたいに踏み潰してやろうか」

「うわ~~~、怖い怖い。デッカイ異形の生物が、なんか言うてるわ。なに言うてんねんやろ?意味わからんし」

「クソチビ!!」

「そこそこ、試合前の私語は慎みなさい。それ以上やったら、ペナルティー、若しくは、試合を没収するぞ」

「ごめんなさい。この人が、急にウチ等に向かって酷い事を言うから……」

「なっ!!」

「君、それは一体どう言う事だね?君達が、幾ら前回の準優勝者だからと言って、そう言うスポーツマンシップに反する行為は慎みたまえ」

「いや、私は……」


審判さんが、飯綱ちゃんの言葉を聞いて、相手方の悪口を言ってきた選手に注意し始めた。


そして相手方も、まだそうは言っても高校生。

審判さんの注意に少々ビビったのか、委縮してる感じですね。


でも、それで事は終わらなかった。

だって、飯綱ちゃんが、そんな好機を見逃す筈がないですからね。



「ほんま、ごめんなさい。でも、この大会は日本から来たらアカンの?幾らなんでも『チビの日本猿がなにしに来た』はないわ。ウチ、バスケしたいだけやのに……なんでこんな『差別』を受けなアカンの?」

「こっ、この女……」


うわっ、うわっ!!これは、私が予想していた以上に酷い展開になったなぁ。


どのスポーツに関しても、一番問題になる『この差別問題』を口にして、飯綱ちゃん完全に被害者面しちゃってるよ。

これは明らかに、相手方のスポーツマンシップに反する行為と取られるだろうだから、相手方のあの大きな選手は、審判に要注意人物として扱われ。

今後、試合中も、必要以上にズッとチェックされるだろうね。


実にエゲツナイやり方だけど、勝つ為には手段を選ばない飯綱ちゃんらしい狡猾なやり口だ。



『ピッ、ピッ、ピピィ~~~』


試合が始まる前に、審判の笛が会場に鳴り響いた。



「4番リンダ。テクニカルファール。君の行為は、著しくスポーツマンに反する行為だ。以後気をつけなさい」

「そっ、そんなぁ。……まだ試合も始ってないのに……」

「なんだ?まだ反省の色が見えないようだがね?」

「いえ……そんな。なにもありません。……」


うわっ、うわ。

飯綱ちゃんのアピールが認められて、あの人、試合前なのに、早くもテクニカルファールを取られたよ。


飯綱ちゃん……絶対、敵に廻したくないタイプの女の子だね。


あぁでも、相手方のリンダって人、審判のジャッジに納得出来無いのか。

判定を下した審判と、その張本人の飯綱ちゃんを思い切り睨みつけてるね。


体が大きいだけに……怖いねぇ。



「ぴぃぴぃぴぃぴぃぴぃ~~~♪アホが調子に乗るから、そんな事に成るんや。ほんま、アホ相手にするのはチョロイもんやで」


・・・・・・


うん……あの大きな人より、コッチの小さい人の方が、もっと怖いね。


これは波乱の幕開けの予感です……((((( ゚Д゚))))))ガクガクブルブル


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


まずは試合前の前哨戦だったのですが。

これに関しては、相手が悪かったと言いますか。

誰であっても、早々飯綱ちゃん相手に言葉で勝てる筈がありませんから、コチラ側の圧勝でしたね。


しかも、相手の言葉を上手く使って『差別』を表現する。

これは本編でも説明させて頂きましたが、スポーツ界でも『最もタブー』な事。

なのでこれで、一気に精神的な優位に立った感じですね。


……っとは言え、これは何処まで行っても前哨戦。

相手方は前回の準優勝チームなだけに、此処で安心していては勝てない。


此処からは、本当の意味ので実力勝負なのです!!


……って感じの事を、次回は書いていきたいと思いますので

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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