「現世の人口はあと数年で百億人を突破します」

冷静な青鬼は閻魔へクールに報告。

閻魔は頭を抱え、ため息、またため息。閻魔の胃にしめつけられるような痛みが襲いかかってくる。慌てて赤鬼が慌てて駆けつけて死にそうな形相で報告。

「さきほど現世で神仏の不在が証明されました！　これによって地獄に来る死者は指数的に増加すると考えられます！！」

地獄は亡者でいっぱいだ。

何万年続くの刑を一人一人にかけているため、亡者は生前より長い時間を地獄で過ごす。だから針山地獄は三日待ち、血の池地獄は一週間と、千葉のテーマパークも逃げ出すほどの待機時間。

もちろん、地獄にいる人間はお行儀よく並んだりもしない。鬼は寝ずに見張りをする。もしこん棒で叩いたりして、反逆されたら目も当てられないので低姿勢。最近、鬼の過労死が地獄ニュースに取りだたされてから閻魔も神経も擦り減っていく。

「地獄拡張の件ですが天国との折り合いがつきません！」

こう報告されて閻魔はついにブチ切れた。

「なんで地獄の閻魔様がこんな目に合わんといけないのじゃ。もうよい天国と争うぞ。鬼は鬼らしく混沌に他者から略奪せよ」

鬼たちが一斉蜂起し、天国と戦争を始める。まさか人知を超えたものたちの戦争理由が人口増加だとは人間たちは思いもしなかった。

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