最終話 いつまでも続く虹色に包まれた輝かしい日々

物語は新年から一気に経過することとなる。

現在は僕と尊の結婚式の場面だ。

星宮家の面々と僕の家族にゆかりのある人物だけが揃っていた。

諏訪みどり、獅子戸波、神室咲凪。

僕や家族と関係のあった彼女らは僕らを祝福してくれる。

一生で一番輝かしいと思える一日に僕らは盛大に祝ってもらう。

ウエディングドレスはお腹を圧迫しすぎない様にしてあり、お腹の中には僕らの新たな生命が宿っている。

数カ月後に僕は父となり尊は母となるのだ。

詠やみどりは叔母になるのだろう。

それほど諏訪みどりは僕らにとって本当の家族のような存在になっていた。

結婚式が無事に恙無く終了を迎えると最後に写真撮影の時間となった。

皆が皆一様に笑顔を浮かべており僕らは確実に祝福されていた。

そんな一日が終りを迎えて…。

物語もそろそろ終幕に向けて進んでいるのであった。




結婚式から数ヶ月の月日が流れて…。

尊は無事に元気な男の子を産んだ。

僕らには息子が出来て尊は何を思ったのか名付けを詠に任せたいと言い出した。

僕は初めての子供だったし少し気が引けていたのだが…。

いつになく本気で僕に頼み込む尊を目にしてなぜだか分からないが僕は了承の返事をすることになる。

詠は産まれて来た赤子に命名をする。

郷成ごうせいって言うのは…どう?」

その名を聞いた時、僕はすぐに兄のことを思い出していた。

「でも…それじゃ…僕にばかり気を遣ったような名前じゃない?僕と尊さんの子供なんだから…」

しかしながら尊も詠も首を左右に振って応えた。

「良いのよ。これから。これからも家族って意味なんだから」

尊は妹の言いたいことを先んじて口にすると詠は少しだけ照れくさそうな表情を浮かべている。

「僕らは…ずっと家族だよ。ずっとずっと…」

赤子を抱き上げてこの場にいる顔ぶれを見渡した。

尊は当然というように頷き、詠は少しだけ照れくさそうに微笑んでいた。

みどりは感謝を告げるように僕らに頭を下げている。

最後にマリネは僕と郷成の元までやってくるといつにも増して美しい声で鳴く。

「私のこともいつまでも家族だって思っていてね」

そんな甘えたような言葉を僕らに掛けているようで微笑むと椅子に腰掛ける。

マリネは僕の膝に乗りたがっていたが郷成を抱いているためにそれは能わなかった。

しかしマリネは何処か誇らしげな表情を浮かべると僕の隣の椅子に腰掛ける。

満足げな表情で鳴くマリネを見た僕らは笑顔に溢れた。

そんな家族円満の生活をいつまでも送り続けたい。

僕はこの日、この場所で改めてそれを誓うのであった。




ある台風の日に訪れたマリネのお陰で僕はお隣の超絶美女とお近付きになれた。

それまで不幸が続いていた僕だったが彼女と出会ったことでそれも緩和されていく。

もちろん不幸な出来事はそれ以降も起きていたのだが…。

それでも僕は彼女らと過ごす日々が幸せすぎたため、どんな出来事も些事に思えてならなかった。

僕は家族を失ったが、再び家族を得ることが出来た。

天国で待っているであろう家族に誇れるような新たな家族が…。

僕ら家族の幸せに包まれた輝かしい虹色の日々はいつまでも続くのであった。


                 完

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ある台風の夜に助けた猫のおかげで、お隣の超絶美女とお近付きになれた…その日までは不幸が重なっていた男の物語 ALC @AliceCarp

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ