第4話 祭師

 尾形君とお父さん社長の二人は救急車で病院へ運ばれていきました。


その際、会社の従業員には私が自由に行動できるよう一言、社長から許可が出されていました。


散乱していた花瓶の掃除など従業員さんがしてくれている間、

私はダンボールの中身を確認しました。

中に『式マルダ様』と書かれた封筒が入っており名刺が入っていました。


名刺は2種類入っておりました名刺の上部中央には、金色の菊の御紋が型押し印刷されていました。


祭事 祭師 榊原城一郎


祭事 祭師 榊原静華


とだけ住所も電話番号も記載は無く裏面も真っ白でした。


封筒に一枚メモ用紙が入っていて

『護符と紙製、木製の御札、お守り袋は式さんが判断して関係者に配ってください』と書かれていました。


ダンボールは結構な重さで一人では持てないほど重く、もうひとつのダンボールは比較的軽い感じでした。


 重い方には大量の護符、御札などが入っており軽く感じる方には

ヘルメットや作業服そしてイタリア製ブランドの革ジャンが一着、

入っていました。


 ダンボールの中身を確認していて白紙の、というか習字の半紙の大きさの和紙が大量にある・・・


『これは・・・』


送られてきた護符、御札の類を直接、釘で壁に打ち付けたり画鋲で貼ったりは絶対にしてはいけない。


一度、のりで半紙などに御札を貼り付け半紙部分に画鋲や釘を打たなければならない。


この知識は誰に教わったのかは覚えていない。


『今やれることから始めようか・・・』


そうしろと言わんばかりに様々な両面テープが、ご丁寧にもダンボールには大量に入っている。


社長室には神棚があった、地元の八幡大明神様の神棚だった。


『ここは、やめておこう・・・』


会社の受付があった1階事務、資材保管庫、二階、資材置き場

荷物専用エレベーター、水場、トイレ、裏口と方位磁石と御札を持ち歩き

朝陽が入りそうな所を中心にして勝手に貼って歩いた。


 会社に残っていた事務員さんや従業員さんには

「御札は手を合わせ祈願して初めて不思議な力を発動して御守りいただけます、ただ貼ってあれば良いというものではありませんので気がついた方は毎日、柏手を打ち、安全を祈願されてください」と説明した。


その後、重機の運転室、営業車などに護符を貼って歩いた。


 指示がなかったので鬼門封じはせずに一旦、社長室に戻った。


いつの間にか、もう、とっくに昼は過ぎていた・・・。


ハラが減ってきたので、そば定食など出前を、お願いして電子タバコで一服していると尾形君から電話が来た。


 医者の見立てでは尾形君は貧血を起こして倒れ顔面を強打、鼻血をだして軽い脳震盪のうしんとう、大事を取って脳内出血がないか経過観察。


社長は苦しみ方から、すぐに背中から腰のあたりを検査され

腎臓結石だと診断されて

高額医療の超音波器具にて石を粉砕して

今、点滴を投与しているという事で二人共、明日にでも退院出来そうだと言うことだった。


 二人の状態を知り緊張が少しほぐれて遅い昼ごはんをいただくと


もう午後三時だった。


「式先生、名刺ができました」


事務員の方が私の新しい名刺を持ってきました。


株式会社〇〇建設 

不動産調査部   式マルダ


とありまました。


早いとは思いましたが会社の従業員さんに手伝ってもらい

私の車に御札などが入ったダンボールを積み込んで一旦、

私の事務所に帰りました。

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