第3章 鬼屋が来ます
第1話 追いかけて鬼屋
私は、あのアパートの事は無理に忘れていました。
刑事さんから過去の事件を聞いた時点で意図的に考えないようにしていました。
いくら怖い話が好きでも限度があります。
とんでもない殺人事件も知りました。
Nさんもやられましたし、それに警察で見た、あの映像・・・
とにかく近づかないに越したことは、ありませんし私生活でも車を連続でぶつけられたり母親が重病になったり家も大変だし介護等で仕事もできなくなってきて
私は経済的にも追い込まれ出しました。
個人的には何かの呪い祟りかもしれないなとボンヤリ思っていましたが、どうする事もできず、そういう私を見ている周囲の人達も冷たいもので手のひら返すように居なくなっていきます。
心が荒れた私は『恩知らずめ!』と彼らを恨み呪い始めました。
意味のない人間関係を呪い、冷たい人々を怨み日々を過ごしました。
そして昨日まで会ったこともないような福祉関係の人や市役所の人々にずいぶん助けられ、感謝するうちに自分の精神がやられ心もすっかり病んでいることに気がつき
『母が死んだら俺の役目は終わりだ俺の式一族は呪われているに違いない、きっと先祖が何かタブーを犯したせいだ早く死にたい』と私は自殺を考えるようになりました。
『怪談なんか集めてるから、そういう目にあうんだ馬鹿だなぁ』
実際、親戚筋とは何十年も音信不通でした。
いま考えると母親がまともじゃなく異常者だったからと思います。
嫁に出た娘たちの子孫は残っていますが
本家一族は後継が絶えてしまい、全員亡くなっています。
自分に悪いことがあれば他人のせいにして、いつの間にか私の心は、あのアパートに巣喰い人々に祟り呪い襲いかかる、あの化け物たちと同じになってしまったのかもしれません。
それでなくとも私は事件・事故含め多忙な日々で、うつ病気味の状態でしたが妙な責任感で冊子コラムに穴を開けれないので、あいかわらず連載をしており記事末尾に
『あなたの怖い話募集お問い合わせは編集部まで』という文言が新しい体験者様に会わせてくれました。
ところが・・・
逢う人会う人みなさん、あの忌まわしいアパートの話を私に、してくるのです。
そして恐ろしいのは、みなさん、それぞれ体験はバラバラで年齢もバラバラ、肝心の体験談や噂話も違っており中には他人の不幸ごとを嬉々として興奮気味に話すような方もいました。
『あの物件が追いかけて来た』話を聞きながら私は、そう思いました。
私は忘れようとしているのに物件は追いかけてきたのです・・・
体験談を、お話をしてくださった方々には私が、あのアパートについて知っている事は何も話しませんでした。
ただ
「せっかく聞かせていただいた貴重な、お話ですが冊子連載で、あんまり重い事件・事故が関係する話は不採用になるかもしれませんので恐縮ですが、ご了承ください不謹慎だとクレームの対象になることもありますので」と説明させていただきました。
ここは公共的なローカル冊子では、ありません。
今まで不採用・封印しておりました取材した話が、どんな内容なのか、
ここまで、お付き合い頂いた読者の貴方にだけ御紹介したいと思います。
少し落ち着いて振り返ります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます