第2章 事件と連鎖と混乱と
第1話 痛恨
それは、死体が自分のベットの足元に転がっていて、どうやって死体を処理したらいいのか悩んでいる夢や私がいつの間にか鬼に変身していて人々を殺していたり・・・
体が動かず金縛り状態で苦しんでいると足元から誰かが這い上がってきて私に襲いかかってきたり、叫び声をあげて目が覚めるたびに
『あー夢か・・・』と、朝からぐったりすることもありました。
そんなある日、私の事務所にネット動画をあげたりしているフリーターの知人Nが遊びに来た。
『金がない』と言うのが口癖で、ご飯時を狙ってくる彼に良い印象は無く会うたびに意見がコロコロ変わるのも問題で私の一番嫌いなタイプの人でした。
「なんだよ、またタカリにきたのか?」私はイヤミを言いました。
「なかなか再生数は上がらないです」彼は嘆きながら唐突に
「夏の特別編なんて感じでさ定点ライブなんかしたら、どうかなと思ってさ」
私は驚いて咄嗟に何も知らないふりをしました。
Nは誰から聞いたのか得意になって件のアパートの噂について語りだしました。
先刻の尾形さん取材の結果は、どこにも発表せず置いたままになっており、あまりに生々しいのとコンプライアンスの問題で雑誌掲載も難しい
アパートのオーナーさんなどが出て来て提訴などされたりしたら
まして死者、行方不明者など関係者さんたちの心情を思うと、いかにも他人の不幸を面白がっているように思われるのも本意ではないので『ボツ』扱いにしていたからでした。
「やめろバカ空家や廃墟じゃないんだぞ訴えらるぞ大家さんに、それに街中なんだから不審者扱いで職質されたり私有地に一歩でも入ってヘタすると住居不法侵入で捕まるぞ、やめろ」
「あれ、なんか知ってんの式さん?大丈夫だってぇー、怖い話のプロだもんな、やっぱ何かあるんだアソコ?」
「知らん」
またこの言葉を聞いた。
『大丈夫だってぇー・・・・』先のことを考えもしない無責任な言葉だ。
「嘘だね、だって空家や廃墟じゃないって今、言ったでしょ場所知ってんジャン」
「知らん、帰れ、もう二度と来なくていいからな」
「うわ冷たい怖い話、教えたでしょう?」
「悪いけど、お前から聞いた話なんて嘘臭くて全部ボツだよ」
「・・・・・」
「なに」
「飯おごってください・・・」
「あーこの貧乏神!」
これが私の短所で、すぐ貧乏人に同情してしまう、自分も貧乏なのに・・・
この同情心が、やがて墓穴を掘ってしまう事になるとは思っていませんでした。
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