第9話 知らせ
行方不明になってしまったAさんの部屋、解約が済み同じ日に
警察からAさんの、お母さんに電話が来ました。
最寄りの駅入口に放置自転車があって車体番号から、その自転車はAさんのものだったという内容で本人は行方不明のままだという報告でした。
とりあえず事件や事故の連絡ではないので関係者は少しだけ、ほっとしました。
「駅ってことは、どこかに行ったんだよなアイツ・・・」尾形さんが言うと
「どこいったか心当たりあるか?」とBさん。
「ねぇな・・・」
「なんだって俺らには連絡くれればいいのにスマホ置いていきやがって」
「うん・・・」
後日、
これで一度は私の取材も尾形さんの話も終わったつもりでいたのです。
私は自分の居住区からそんなに遠くない、そのアパートを実際に見に行って周辺の写真撮影等をしたり図書館に行き古い地図などを調べ始めていました。
平日の昼間とはいえ車も人も誰もいない不気味なほど静かな場所です。
そこは川沿いの細長い土地で公園を境に雑草の生い茂る放置された状態が500メートルほど続いて、その端にポツリとアパートが建っていました、裏手には大きめの川が流れています。
アパートの手前は、車同士がすれ違える程度の車道になっていて向かい側には民家や安アパート、長屋廃墟、意味不明の空き地が点在しておりました。
そして意味ありげな地蔵尊の祠と大きな柳の木、お寺の管理する出張所的役割の庵が建っております。
思えばアパート周辺をうろついていた時点で、なんども私の妖怪アンテナが反応しており
『なんか危ねぇな、なんだろう?』と思っておりました。
特別な能力があるわけでもないし普通の人間なので、それ以上は何も解らず仕方ありません。
私は普段、絶対に心霊スポットなどには行きません。
昔、調子に乗って痛い目に遭っていたからです。
しかし私は、そのアパートを、なめていたのです。
文字どうり後悔、先に立たずです。
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