(四)-3(了)
拓弥はとっさにその前へ進み、翔太の体を支えた。
「大丈夫か、翔太」
とっさに抱きかかえられて、翔太は「えへへ、ありがとう」と照れ笑いをした。
そして翔太は立ち直り、「それにしても加島君、どうしてここにいるの?!」と笑顔で聞いてきた。
その笑顔に、拓弥の心臓はピッチを上げた。ランニングをしている時よりも鼓動が強くなった。しかも拓弥の頭はまだしっかり働いてはいなかった。
だから拓弥は動いた。本能に従って。自らの両手を拓弥の両頬にそれぞれ当てた。さっきの女のように。そしてその手で翔太の顔を自分の方に引き寄せつつ、拓弥はその唇に自分の唇を押し当てて、吸った。
(了)
アイツにランナーズハイ 筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36 @HarunaTsukushi
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