第19話.冒頭パターン2:マリベルの儀式から開始

 貴族の豪邸が多く立ち並ぶ区画。その中でも比較的大きな館。その最上階には、広い社交パーティー用のホールがあった。


 その中央に一人の少女が立っている。


 天井てんじょうにあいた明り取りの窓から、青白い月光が降り注ぎ、まるでスポットライトのようにその少女を照らす。


 黄金色こがねいろの髪がきらきらと輝き、そのうえには大きな三角のが乗っている。

 白地に水色の縁取りのあるゆったりとした上着に、同じく水色のロングスカートを履いていて、腰のあたりからは、ボリュームのある黄金色こがねいろが広がっていた。


 その特徴は、彼女が狐獣人ルナールであることを表していた。獣人の中でも、唯一魔法に長けている種族。



 そして、少女の手には魔法使いが持つような大きな杖が握られている。


 その杖は、小柄な少女の身長と同じくらいの長さで、上部には、青く透明な水晶が取り付けられていた。

 それは今も月の光を受けて青白く輝いている。


 その水晶を囲むように三重の輪。

 それは、湖面に水滴が落ちて波紋が広がる様子を模したようにも見える。


 そして、水晶のすぐ下には、小さなガラス瓶のようなものがはめ込まれていた。


 その下には鈍色にびいろの金属棒が伸びていて、その先は不規則な凹凸になっている。それは見ようによっては大きな鍵のようでもあった。




 月明かりを浴びて狐獣人ルナールの少女は、大きく息を吸いこむ。

 そして、鈴の音のような美しい声で歌い始めた。


 ―― いやしの神の、御座おわします ――


 少女は歌いながら、杖を持って舞う。


 両手で杖を水平に持つと、こうべを垂れながら杖をゆっくりと頭上に持ち上げる。一番高いところまで持ち上げると、シャランと澄んだ鈴の音がホールに響いた。


 ―― 外界げかいへだたる、楽園の ――


 右回りに一回転。スカートのすそがふわりと広がる。

 その後、先ほどと同じように両手で杖を水平に持ち、ゆっくりと頭上へ掲げる。再びシャランと澄んだ音色が響く。


 ―― 険しき道を、かき分けて ――


 少女は杖の下部を右手で持つと、その手をいっぱいに伸ばして杖を斜め下へと向ける。そこから、ゆっくりと右方向に2回転。回りながら杖を少しずつ斜め上へと上げていく。


 杖の先にある水晶からは、青白い光の粒子が流れ出て、ふわりと広がる水色のスカートへと降り注いだ。


 ―― いつかまみえん、その姿 ――


 杖の持ち手を左手に変え、今度はゆっくりと左回転。

 くるくると回る少女。杖から溢れる青白い光の粒子は量を増していった。


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🔹ここまでで981文字です

 儀式……途中までしか書けなかった。

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