第18話.冒頭パターン1:時系列にプロット通りに進める。

 満月の青白い光が辺りを照らす。

 貴族の豪邸が多く立ち並ぶ区画。その中でも比較的大きなやかた。そのの上には、いま一人の男の姿があった。


 短めの青みがかったグレーの髪に、猫獣人みゃうの特徴であるがちょこんと乗っている。

 男性にしては少し小柄な160センチほどの身長。

 整った顔に、鋭い目。

 黒の上下に身を包んでいるこの男は、名をルイス・ナバーロと言った。


 性悪貴族しょうわるきぞくだけを狙い、鮮やかな犯行手口により、最近人々の口のにのぼるようになったのうちの一人だ。


 ルイスは、屋根にある明り取りの窓に取り付くと、部屋の中から見られない様に、小さな鏡を使って中をのぞく。


 ダンスパーティ用の部屋だろうか? 隅のほうに白い豪華な丸テーブルがいくつか並んでいるだけで、部屋の中央を含めた大部分は何も置かれていない広いスペースとなっている。


 モザイク模様の床が広がるその部屋の中央付近には5人ほどの男女が立ったまま、何か話しているようだ。

 その男女を遠巻きに囲むように十数人の騎士たちが直立不動で見守っている。

 彼らは、赤を基調として騎士服と鎧に身を包み、剣で武装していた。



 こんな夜遅くにずいぶんと物々しい警備だが、それには訳があった。

 それは、今朝早くにこの屋敷に届けられた一通の予告状が原因だ。

 予告状を届けたのは、今まさに屋根の上から部屋の中を伺っている怪盗ナバーロこと、ルイス・ナバーロだ。


 予告状にはこう書かれていた。


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 予告状

 今夜、月が中天にかかる頃。

 パナケアの薬箱を頂きに参上する。

         ―― 怪盗ナバーロ

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 予告状にあるというのは、神秘の霊薬という貴重な薬を作る道具だ。その霊薬は、どんな病気や怪我けがでもたちどころに治してしまうほど優れているという。


 少し前の冒険で、もう一人のナバーロ。ルイスの弟のティトが大怪我を負った時、二人は有効な回復手段をもたなかった。

 その時は運よく助かったが、毎回そんな幸運に見舞われることはない。

 そんなわけで、良質な回復手段を求めた結果、ルイスが辿り着いたのがの噂だ。

 そして、そのの持ち主が、イザベラ・メルゼベルク。ちょうど、ルイスの真下にいる赤い髪の美女だった。



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🔹ここまでで981文字です

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