第4話 気持ちの悪い違和感

だがしかし、エドール警部は思った。「もし、本当に怪盗ファントムが予告時間ぴったりに物を盗んだのなら、まだこのお屋敷の中にいるはずだ」と。「マイルズさん。行きましょう。怪盗ファントムはまだお屋敷の中にいるはずです。何としてでも捕まえましょう」と言い、エドール警部は金庫の部屋出て、パーティー会場へと向かった。

会場には様々な人がいるので、誰が怪盗ファントムなのかなかなかわからなくて、困っている時、怪盗ファントムのもとへ王様が近づいて話しかけてきた。「どうしたのですかな

?も、もしかして」と、王様が言いかけたとき、パーティー会場の奥から「きゃー!」と、叫び声がした。エドール警部は真っ先に声のしたほうへと駆け付けた。するとそこにいたのは一人の女性だった。エドール警部は「どうしたんですか?」と、女性に聞いた。女性は「な、ないんです。私の大切な真珠のネックレスが…ちゃんと首にかけていたのにないんです!」と、今にも泣きそうな目でエドール警部にしがみついた。「ま、まさか怪盗ファントムの仕業かしら?」と、周囲の人々がざわめきだした。「え、本当にあの怪盗ファントムがやったの?」「か、怪盗ファントムだって…」そんな時、エドール警部はある違和感を感じていた。それは周囲の人々がざわめいているからではなく、もっと何かを見逃しているような気持ちの悪い違和感であった。そんな気持ちの悪い違和感がエドール警部の頭の中をよぎった。その時、エドール警部には、一人の男が目に留まった。それは王様であった。なぜか?それはパーティー会場にいるみんなが驚いているのにもかかわらず、王様は全く驚いていないし、ざわめきもなかった。それに王様はみんなとは違って女性ではなく、何か違うところを見ていた。王様はとても集中してジイっと何かを見つめていた。エドール警部は「何を見つめているんだ、王様は…」と、不思議に思った。明らかに王様はいつもの王様ではなかった。何かが王様になりすましているような感じだった。その時、エドール警部は思った。「もしかして、怪盗ファントムは王様に変装しているのか?」そう思った瞬間エドール警部は「だとしたら、怪盗ファントムは本当に凄い怪盗だ。よく目を凝らしてみないと違和感に全く気付けなかった」と、恐ろしいことに気づいてしまったのだ。それが分かった時、エドール警部は「こうしてはいられない。今すぐにでも怪盗ファントムを捕まえなくては」と、手錠をいつでも取り出せるように構えながら王様のもとへと恐る恐る近づいた。

                                        つづく

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