第3話 輝く王冠の行方…

「それもそうですな。でも、大丈夫ですぞ。こんなこともあろうかと優秀な警部を呼んでおいたので、安心してくだされマイルズさん」と、言いながら王様は、体ががっしりとした4~50歳くらいの男を指さした。「彼こそがわしが呼んでおいた警部の、エドール・サトス警部だ。

彼はとても優秀で、誰も解けなかった事件を一人で解決してしまったり、誰も気づけなかったトリックを見破って犯人を逮捕してしまうほどの凄腕の警部なのだよ」「彼があの有名なエドール・サトス警部なんですか!?初めて会いましたよ。

彼ほどの実力があれば本当に怪盗ファントムを逮捕してくれるかもしれない」と、マイルズは驚きながらもエドール警部が来てくれたという安心感で、さっきまでの緊張や焦りが少し和らいでいた。

「そういえばマイルズさん。輝く王冠とは、どんなものなんですかな?

怪盗ファントムが盗みに来るのだからさぞ高価なものなのだろうという予想はできているのですが、どれくらい高価なものなのか教えていただけないだろうか?」と、王様はマイルズに聞いた。「ああ、輝く王冠はですね、とても大切なものでして売れば2億マイル(作者が考えたお金の単位で、大体1マイル1000円ぐらい)以上の価値がある物なんです。それに輝く王冠はもともと私の先祖が作ったものでして、素材にはクリアダイヤモンドという世界で最も美しく輝くダイヤモンドとして有名な宝石を使っていたり、金なども使っているのでとても高価なものなんです」と、マイルズは自慢げに言った。すると王様は驚きながら「それはたまげた。そんなに高価なものだったんですね!?」と、目を丸くして王様が言った。

 王様やエドール警部と話していると、時計の針は、午後十時二十分を差し掛かっていた。それに気づいたマイルズは、冷や汗をかき、慌て始めた。するとエドール警部がマイルズに近づき「大丈夫ですよ、マイルズさん。怪盗ファントムは必ずこの私が逮捕して見せますから」と、マイルズを励ますように言った。「ありがとうございます。エドール警部」と、マイルズは冷や汗を服の袖で拭きながら言った。すると王様は「マイルズさん。お手洗いはどこにありますかな?」と、マイルズに聞いた。マイルズは、「お手洗いならここをまっすぐ行って突き当りのところにありますよ」と、言った。だがマイルズはおかしいことに気づいた。なぜか?それは王様が少し前の時間に「お手洗いはどこですかな?」と、聞いていたからだ。マイルズは怪しいと思ったが、「王様は怪盗ファントムの訳がない」と、思っていたので、王様がお手洗いから戻ってくるときにはもうすでに疑いは晴れていた。

第二章 怪盗現る

お屋敷からは、いつまでも楽しそうな声が聞こえている。みんながパーティーを楽しんでお酒の酔いが回ったころ、時計の針は午後十時三十一分を刺していた。

マイルズはそれに気づくと、慌てて輝く王冠が盗まれていないか、エドール警部と確認しに部屋を出た。

輝く王冠を保管している金庫につくと、エドール警部とマイルズは、輝く王冠がなくなっていることに気が付いた。「な、なくなっている。私の輝く王冠が…ない!」と、マイルズは心の底から絶望したように言った。「なんてことだ…怪盗ファントムは予告時間ぴったりに物を盗み、その後煙のように消えてしまったのだ。これが噂の怪盗ファントムなのか…」と、エドール警部は怪盗ファントムのすごさに圧倒されて少しの間、体が動かなくなっていた。

                                  つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る