第2話 イーサン・マイルズと王様

この手紙を見たマイルズは、しばらくの間放心状態になっていたが、すぐに警察に連絡し、「輝く王冠を何としてでも怪盗ファントムに取られないようにしろ」と、命令したのだ。だがしかし、今日のパーティーにはこの国(クリスサント)の王様も出席するので、マイルズはパーティーを中止にしたくてもできないのだ。

なのでマイルズは、まだ午後九時なのにとてもそわそわしているのだ。

そんな状態のマイルズのもとに王様が近づいて話し始めた。

「今日はこのようなパーティーに参加できてとてもうれしく感じますぞ、マイルズさん」

「ええ、私も王様が参加してくださるのでとても光栄です」と、マイルズはしゃがれた声で言った。その声には若干の苦しみも混ざっていて、非常に重ぐるしい声であった。

王様は、「そういえばマイルズさん。今日は怪盗ファントムが『輝く王冠をいただきにまいります』という一通の手紙が届いたと聞きましたがそれは本当ですかな?」と、さりげなくマイルズに聞いた。するとマイルズは、顔を真っ青にして「知っていましたか。そうなんです。いつものように郵便ポストを開けたらポストの中に怪盗ファントムからの手紙が届いていて、とてもびくびくしてしまいます」と、わざとらしく体を震わせて言った。

「それで、警察には連絡したのかね?」と、王様は真剣な顔つきになりながら言った。マイルズは、「えぇ、一応は。でも、あの怪盗ファントムが簡単に警察に捕まるかどうか…」と、心配したように言った。

                                  つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る