第七章
第96話 かめ
「…凛月、もうちょい右寄って」
「はーい」
「おい海人離れんなよ」
「いや、だって…」
「凛月そいつ掴んどけ」
「こうでいい?」
「うぁぁぁ…」
「くっそ羨まし…」
「おっけおっけ、美月一歩左寄って」
「…真は端に来るの?」
「うん」
「ふーん…」
「はい、じゃあ5秒前…」
画角は完璧、カメラのシャッターを五秒前にセット。
美月の横にしゃがみ込んでカメラに視線を合わせる
カシャ、カシャ、と二回のシャッター音が響いて、俺はもう一度カメラの所に戻った。
現在は今日来た全員の集合写真を撮ったところ。
「……オッケー、完璧。あと社長にクラリスと
美月と凛月のの誕生日、集まったメンバーは保護者として湊さんと紗月さん、白龍先生と天音さん、川崎亜紀さんと拓真さん。
クラリスの三人と
美月は当然として、渚やクロエ、姉さんこと夏芽さん。
クラスメイトからは達也と海人、大翔と夜空、桜井の5人。
生徒会からは理緒先輩と中村先輩だけが参加できた。
あとは九条と晶。
そんな訳で総勢二十人以上で、天音さんのプライベートビーチと直近の旅館を貸し切らせて貰うことになった。
クラリスと
それとは別に思い出作りって意味でも写真はいいよね。
「…それにしても…」
…何だこのビーチ。
青い海、白い砂浜、美男美女が駆け回る。
まさに壮観。
それはそうと
クラリスの三人は逆に達也や九条、晶、海人、夜空や桜井さん…に囲まれてる。
渚とクロエはさっさと海に入ってるし、姉さんは中村先輩と理緒先輩と話してる。
この中じゃ唯一同い年だからか、中村先輩と姉さんは。
いや、多分
大人達は集まってテントやらパラソルやらを設営。
一眼レフカメラって重いだけだと使ってみると愛着湧くよな。
それはそうと海なのでこれ以上の撮影はスマホで代用。
なんせ一眼レフって精密機器だからな、熱、水、砂塵。
天敵ばかりの炎天下の海では可能な限り控えたい所。
俺は一度湊さん達のところにもどって、カメラをバックの中に丁寧にしまい込んだ。
そしてスマホを取り出して設営中の大人達をパシャリ。
「お前この人数集めた挙げ句やることが撮影て……」
「えっ、いや…寧ろこの絶景を見て撮影以外の何やれってんですか?」
「絶景はこっちじゃなくてアッチじゃないかな?」
「どっちもですよ」
「アラフォー撮ってて楽しいですか?」
「その言い方世の中のカメラマン全員敵に回しますよね…」
何気に棘があっただろ紗月さん…。あと天音さんはまだアラサーにギリギリ手が届くか届かないかくらいだから。
「…で、真は皆と泳がないの?」
「…ん…。あれ?言ったことありませんでしたっけ…」
「ん?何を?」
「俺まず、泳げませんけど…」
「「「「…うそ?」」」」
愕然とした表情の大人達を見て、思わずフッと鼻を鳴らした。
こちとら中3の時に取れるライフセーバーの資格持ってるっての。
大人たちをからかうだけからかってから、海の方に視線を向けた。
浜辺ではしゃぐ
「…よし撮るか」
一人呟いて、波打ち際に寄ると…すぐ近くに居たどこぞの双子の会話が聞こえてきた。
「りつ、こっち来て」
「みつーどうしたの?」
「かめ」
「「「かめ?」」」
クラリスの三人が声を揃えて疑問符を浮かべた姿を見て思わず声を上げた。
「亀はタートルだろ。ウミガメ見つけたんだろ」
「あ、真だ」
「居るんだそんなの」
「写真でも取ってきたらどうだ?」
俺は
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