第7話 天秤の傾き 推敲

傾いた釣り天秤と

屑星が落ちた春空と囁やく君


◆思い描いた景色

 大学を卒業後、田舎に戻って家業の雑貨屋を手伝っている。はっきり言えば、就職に失敗した。

 田舎に戻ったのも家賃節約の為で、店を継ぐつもりも無く、継がせるつもりもないと親に言われた。

 そんな俺は、日がな一日パチンコ三昧。

 勝ったり負けたりの常連の仲間入り。

 そんな常連の仲間に、幼馴染みのK子がいた。

 詳しくは知らないし、聞かないが、ドロップアウトして今に至っている。

 勝てば居酒屋で飲むし、負ければカップ酒で騒ぐ。とても気が合うし、とても楽しい。

 半端な俺がこんな楽しい毎日で良いのか。

 そんなK子が珍しく酔いつぶれた。

 背負った俺の耳元に、

「ありがとう。もう大丈夫」。

 全く大丈夫じゃなさそうだけど。

「自分で歩けるか」

「明日から仕事を探す。だから、もう大丈夫」

 何がの言葉は呑み込んた。

 だから、

「そうか……。じゃあ、俺も付き合うよ」

「ありがとう」

 そのまま、眠ってしまった。

 しゃがんでいる時間は終わりなのだろう。だったらジャンプするだけだ。

 俺もいじけている場合ではない。

 釣り合いの取れる男で居なければ、いずれ君は離れてしまうかもしれない。

 天秤座は俺の誕生月の星座だ。

 俺の中に天秤の傾く音がした。


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