第14話 アメリアさん、好きです

午後からは映画を見た。

「どれにする?」

「うーん僕はこれがいい」

と恋愛小説がモデルとなった映画を選ぶ。

「尚くん、意外と乙女チックなところあるよね」

「だ、だって!ホラーとか怖いし…」

するとアメリアさんは笑顔で

「じゃあこっち見よう?」

とある映画を指さす。

「これ…ホラーだよ?」

「大丈夫。そんなに怖くないから。一緒に克服しよ?」

僕はアメリアさんに弱い。

躊躇したけど結局は見ることになった。


それで現在…

《やめて!こっち来ないで!キャー!》

「こ、怖いよ…」

ホラーっていうレベルじゃない。残酷すぎるよ…。

目を閉じても聞こえてくる悲鳴がまた怖い。

で、でもアメリアさんにかっこいいところを見せないと。

それで頑張って見ようとしての繰り返し。


すると誰かに手を握られたような気がした。

「大丈夫?やっぱり怖い?」

僕は正直に

「怖い…」と言った。

これを高田が見ていたら情けない、アメリアさんの隣にいるなら頑張れよとでも言うだろう。

でも怖いものは怖い。


「じゃあずっと繋いでれば怖くない?」

「う、うん」

「気分が悪くなったらすぐ言って」


それからもアメリアさんはずっと繋いでいてくれた。それから映画はびっくりさせてきた場面はたくさんあったけどそこまで怖く感じなかった。


「大丈夫だった?ごめんね、ちょっと怖がるくらいだと思ってたから…」

とため息をついている。

「ごめんねは禁止だよ?アメリアさんも守らないと。僕途中からあまり怖がらずに済んだし気にしないで」

「うん。そうだったね。」


その後はクレープを食べたいとなり、僕達はクレープ屋さんに行くことになった。

「うん?どうしたの?」

「いや、なんでも無い」

周囲からの視線が…


「あの人、どっかのモデル?」

「すげー美人」

「大学生か?」


男性だけでなく女性からも視線を浴びている。アメリアさんスタイルいいから、高校生の域超えていると思う。


「ほーら、あーん」

「うん?」

とクレープを僕の方に向けてくる。

「さっきショコラも食べたいって言ってたよね。だから一口あげる」

「いや、それはアメリアさんが食べる物だから…しかもか、間接キスだし…」

「ドキドキしちゃってる?」

「こんなの恋人がすることで、もし高校の人に見つかったら…」

「そんなの心配しなくても大丈夫。見つかっても私が何とかするから」

とアメリアさんが言う。実際何とかなりそうなのが怖い。


「周りの人も見ちゃってるから早く食べる」

「え、ちょっ!」

クレープを突っ込まれ食べさせられる。結構美味しかった。

「美味しい…」

「良かった。尚くんからはしてくれないのかな?」

「だ、だって…!」

「いつかは食べさせてね?」

とさっき僕に食べさせたクレープがアメリアさんの口の中へと入っていく。

間接キス…


時刻は午後5時。夕日が沈みそうな時間帯になってきた。僕達はショッピングモールを出てすぐの砂浜に行く。

「今日は楽しかったね〜。尚くんと色んなことが出来た」

「久しぶりにお出かけしたから僕も楽しかった」

「そう?なら良かった。」


アメリアさんが

「あそこに座らない?」

と言い、木の下に座り込む。

「夕日綺麗…」

「いつもここに来たらこの場所に座って夕日が沈むのを見るの」

「いいね。この場所」

「私のお気に入りの場所」


しばらく沈黙が訪れる。波の音が響き渡る。

「ねぇアメリアさん」

「うん?」

「どうして僕のことが好きなの?僕、アメリアさんを知ったのも最近だし、ホラー映画でビビるような意気地無しだよ?もっといい人いると思うんだけど」

遠回しにせずに素直に聞いてみた。


「私、1人だったんだ。一時期、一緒にいてくれる人はいたんだけどね。何をするのにも1人。だから完璧な人だとか殺し屋なんかもやったりしている。尚くんはこんな私でも変わらず接してくれる。

だから離したくない」

「あ、アメリアさん!?」

突然抱きしめられる。


「前に聞けなかった返事聞かせて欲しいな。遠慮せず尚くんがどうしたいかを教えて。どんな結果でも君の生活は保証する」

アメリアさんは断られたとしても僕を応援する気みたいだ。

でもそんなことする必要が無い。


僕はアメリアさんのことが好きだから。

緊張するけどちゃんと言葉にして言わないと。

「アメリアさん、好きです」

「…!ほ、本当?」

「本当。ずっと一緒にいたいくらい」

「嬉しい…。嬉しいよ!」

抱きしめる力が少し強くなったような気がした。




《これで1章完結です。テスト期間中ですが書かせてもらいました!この後視点別を2話挟んで2章に入ります。次回は週末になりそうです》

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