第7話 焦らずゆっくりと

4限目が終わる。

「おーい尚ー昼どうするー?購買行く?」

「ごめん高田。僕、ちょっと用事があるから」

と半ば無理やり教室から出る。


「その様子だと、ギリギリ抜け出せたようね」

「アメリアさん。僕お昼買ってこないといけないんだけど…」

購買に行くとなるともう一度高田と遭遇する可能性が高い。

「大丈夫。私がお弁当作ってきたから」

「え…?」


「食べて欲しいんだけど…ダメかな?もちろん購買でも私はいいけど…」

「いただきます!」

アメリアさんが作ったお弁当を食べないわけが無い。

「あーんして欲しい?」

「恥ずかしいよ…」

「ここには2人しかいないから」

ここは空き教室。

普通は昼に使うことは出来ないんだけど…


まぁアメリアさんだから何とか出来たのだろう。

「いただきます」

卵焼きを口に入れる。

美味しすぎる。


「尚くん甘い方が好きかなと思って作ってみたんだけど…」

「すごく美味しいよ!アメリアさん!」

「そ、そう?なら良かった」


美味しすぎてパクパク完食してしまう。

「ごちそうさま」

「もう、次の授業が始まっちゃうね。どうする?2人でサボりたい?」

「サボる?」

「私と、学校で、イチャイチャ恋人らしく…」

「し、しないよ!もう戻ろう!」


「急すぎたかな」

「まだ僕、アメリアさんのこと…」

言葉が詰まる。

僕はアメリアさんのことどう思ってるのか。


「昨日助けてくれたのは本当に感謝してるけど…いきなり好きだと言われても…心が追いつかないっていうか…」

いつもこうだ。優柔不断。だから親にも言われるんだ。


「でも、アメリアさんのこと少しづつ好きになってると思う。」

「尚くん…」

1日で好きになるのはチョロいのかもしれない。

でも案外一目惚れしてしまっていたのだとも思う。


「僕、感情表現が上手く出来なくて…。だからアメリアさんには迷惑かけるかもしれないけど…」

と言った瞬間抱きしめられる。


「それを言ったら私もだよ。尚くんより下手。2人きりの時はこんなんなのに学校では冷たい態度をとっちゃう」

「僕はあまり気にしてないよ?」

机を隣り合わせにしてた時は感情丸出しだったじゃん。


「2人で一緒に1歩ずつ前に進んで行こう?」

「うん。アメリアさんのこともっと知れるように頑張る」

これでも殺し屋なのが嘘なくらい。


「じゃあ戻ろっか」

「そうだね」

「あ、その前に」

アメリアさんは振り返って言う。


「私は尚くんを甘やかせれたらいいなと思ってるから尚くんはそんなに焦らなくてもいいんだよ?私はどこにも行ったりしないから」

「分かった」

「それならよろしい」

と鼻をツンツンしてくる。


《最初設定としてはポニーテールにしていたのですがショートカットに変更しました。1話に書いてあるのがちょろっと変わるくらいです。》

追記: 尚は気づいてないだけでもう80パー好きです。チョロくはあります。




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