第6話 素っ気ない中での席替え

「着きました」

サングラスをかけた運転手さんが言う。

「そう。ありがとう」

車のドアを閉じてお礼をする。

「では行きましょう」

「う、うん」


「アメリアさんが男と一緒!?」

「隣誰?」

「知らない。てかアメリアさんより身長低いじゃんw」

おい、笑ってるヤツ。結構気にしてるんだからあまり言わないでよ。


それにしても

「…」

ずっと静かだ。

まぁいつも通りのアメリアさんに戻っただけだ。

「じゃあ、僕先生に提出する物があるので職員室行きますね」

「分かった。じゃあ私は先に教室にいるね」

ここで一旦お別れをする。


それにしても…

「アメリアさん、急に素っ気なくなるなぁ…」

さっきまでは僕をお膝の上に乗せようとしてきたのに。


まぁ僕みたいなやつと学校でつるんでたら色々言われるだろうしこれがいいかもしれない。


さっきも一緒に歩いてるだけで傷つけられたし。


「先生、これお願いします」

「おう、お疲れ。あ、そういえば黒須間。これ」

と1枚の紙を渡される。

「ご両親、出張ばっかで忙しいのは1年生の時から担任しているから分かるが一応連絡はしておけよ」

「はい…」

正直親に連絡はしたくないな…

「大丈夫だ。先生もちゃんとフォローしてやるからそんな怯えんな」

と背中をバシバシ叩かれる。

三者懇談…。やりたくない。


「失礼しました」


職員室を出て教室に向かう。

「おっはよう〜!」

「高田おはよう」

「どうした?そんな暗い顔で」

「ううん。何でもない」

「おいおい〜俺とお前は親友だろ?何かあるなら話せよ〜」

「大丈夫だよ」

高田のこういうところは少し好きだ。


「よーしいいか席につけー」

さっき話した熱血教師が入ってきた。

「今日はまだみんな同じクラスになって日が浅いから席替えするぞーくじ引けー」

用意周到な先生がくじを引かせる。


「俺、アメリアさんの隣がいいなー」

「俺も俺も。絶対勉強集中できるわ〜」

とクラスの人が騒いでいる。

僕も、もしそうなれたら嬉しいと思う。

それが顔に出ていたのか。


「尚〜?もしかしてお前アメリアさんのこと好きになった?」

「ば、バカ!何言ってんだよ!もしアメリアさんに聞こえてたら…」

「そう言うってことは…分かりやすい」

「静かに!」

アメリアさんの方を向くが反応無し。外を見ている。


「よし、窓際端っこはまた東雲か。」

アメリアさんの苗字は東雲だ。実は夜中こっそり調べると東雲家はアメリアさんのお父さんが言っていたようにグループ会社を経営してて総資産数十億。まぁ家見れば分かるけど。


「その隣は…」

その場にいる男子全員固唾を呑んで聞く。

「黒須間だ」


「はぁ〜!?」

「黒須間が?」

「くそ〜黒須間、俺と代われ!」

僕…?


「よろしく」

「よ、よろしく」

相変わらず素っ気ない。昨日好きと言われたのが本当かどうか怪しくなってきた。

ワンチャン夢だった説も有り得る。


すると耳元で

「そんな寂しそうにしないで。お昼は一緒に食べられるから」

と囁いてきた。


4限目授業で隣同士と机をくっつけた時、やたら手を繋ごうとしてくるアメリアさんとの攻防戦が朝に引き続きここでも起こった。










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