第4話 アメリアさんは僕を甘やかしたいようです…

「悪かったね。私達の抗争に巻き込んじゃって」

「いえいえ僕も暗い夜道を一人で歩くのが悪いので」

抗争という言葉には反応しないでおく。


「ところで君もうすうす感じてはいるが、私達は殺し屋をしている。そして私はボスだ」

殺し屋…

存在するんだ…てっきり映画とかだけの物だと思っていた。


「そう聞いて怖くなったかい?」

「いえ。道理でアメリアさんがかっこよかったわけだと分かりました」

「…!」

アメリアさん、アクション映画並みに凄かった。

昔からそういう映画は一人で何本も見てきたからかっこよく見えてしまった。


でも殺し屋って…

「主な対象は怪しい取り引きを行う売買人、後は卑劣な行為を行うトップ層だ。一般人をむやみやたらに殺している訳では無い。」

少し安心した。

殺しをしているのは変わりないけど。


「表では私はグループ会社の会長をしている。これでも私は結構すごいんだよ?」

「お父様、自慢はやめてください。直ぐに退室しますよ?」

「ごめんなさい」

娘には頭が上がらないお父さん。そう見ると少し笑ってしまう。

「仲がいいんですね」

「良くない」

とアメリアさんは少し不機嫌そうに言う。


その後、殺し屋のことは黙っておくというのを条件に

「アメリアとの交際を認めよう」

「こ、交際!?」

「これからよろしくね尚くん」

といきなり決まった。


「失礼しました」

今日は夜中の11時ということもあり泊めてもらうことにした。


「疲れた〜」

ベッドに転がり込む。

ようやく寝れる…と思っていた。

「ふふ、お疲れ様」

アメリアさんは自分の部屋に戻らずにいた。

「アメリアさん?自分の部屋で寝ないんですか?」

「尚くんを愛でてたいから」

「僕を愛でる?」

そうするとアメリアさんは僕の手を取り、

顔を近づけてくる。


「私、ずっと好きだった。さっきは無理やりあの人が付き合うとか言ってたけど」

いやアメリアさんから先に…とは言えなかった。

「尚くんは殺し屋であるありのままの私を受け入れてくれると思った。こんな私だけど一緒にいてくれる?」

答えに迷う。

普通なら学校1番の美女しかも振ってしかいなかったアメリアさんが僕を好きでいてくれる。それはとても嬉しい。

でも急すぎて頭が追いついていない。


返答に困っていると

「じゃあせめて尚くんを愛でていたいんだ」

「僕を愛でる?」

「私より背もちっちゃくて何をするも愛おしい」

「あ、アメリアさん!?」

抱きしめられる。

包容力があって頭がクラクラする。


「今日はいきなりすぎたよね、ごめん。」

「アメリアさんが謝ることじゃないよ。僕も少しづつアメリアさんを知っていきたいから、これからよろしく」

「君を惚れさせるから」

今日は目まぐるしく、そして明日も目まぐるしい1日を送ることをこの時の僕は知らなかった。


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