No.1 茜色の背景

風白狼

茜色の背景

「それでね。」

笑いながら君は言う。同じ制服を着て、自転車を押しながら僕は聞く。

「今日はいっぱい楽しいことがあったな。」

彼女は夕暮れ時に沈む太陽を見ながら呟く。

「学校は普通に来れてる?」

君は僕の耳元でそう言った。普通なわけ無いだろ。なんて君に言えるはずがなくて、

「大丈夫。」

ただそう淡々と返事をした。

パトカーの音が微かに聞こえる。このへんで交通事故が起きたことは最近だ。

トラックと正面衝突。そして、もう一方は僕だ。

奇跡的なことに外部から見える損傷も、レントゲンにも問題はなかった。。ただ、僕が見ている世界は他人とは違っていた。

青色の空、青色の海。それらが黒くなってしまっていた。

それからというもの、紫、緑、黄色、とどんどん見える色が限られてきて、

今ではもう、赤系統の色以外は見えない。

君が笑っているということも耳だけで分かる。

でも、今だけ、

茜色をバッグに君の姿が見える。

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No.1 茜色の背景 風白狼 @soshuan

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