お兄ちゃんのお仕事

―― セレブリティ家・コモモの部屋 ――



「ぬりぬり~」


「あら、お嬢様、お絵描きですか?レナにも見せて下さいな」


コモモは、がば、と、画用紙に覆い被さった。


「見せなぁ~い」


「……!」


(コモモお嬢様が、私にも見せて下さらないなんて……!)


「ぽっ」


コモモは、頬を桃色に染め、瞳を、少女漫画のヒロイン並にキラキラさせた。


瞳の中に、星や太陽や、色んなモノが輝いている。


(あれは……恋する乙女の瞳!)




―― スマイル団アジト ――



♪朝 目が覚めて 真っ先に思い浮かぶ 君の事♪


(着うたが初音ミクか……)


「ん?コモモからLINE?」



『クーヤお兄ちゃんへ


 コモモ、お兄ちゃんのえ、かいたよ!』



「はは、可愛い事するなぁ」


「……イライラ」




―― セレブリティ家 ――



「クーヤお兄ちゃん、はやく来て」




―― スマイル団アジト ――



「レヴィ、頼むぞ」


「クルゥ!」


クーヤを背に乗せ、龍のレヴィは、ふわりと宙に浮かぶ。


「ふ~、早くコモモんとこへ……ん?」


クーヤの眼下には、赤信号の横断歩道を渡ろうとする、お婆ちゃんが。


「危ない!」


お婆ちゃん、危機一髪。


「ありがとうごぜえましゅた」


「いえいえ」


(さぁ、子モモn「泥棒ーッ!」


引ったくりだ。


「はい、これ」


「ありがと、お兄さん」


「なんのなんの」


(さて、子モm「うっ、産まれるぅ~!」



(うあ……コモモとの約束の時間、大幅に過ぎてる……!)


\(^O^)/オワタ


「レヴィ、急げ!」


「クルゥ~!」




―― セレブリティ家・庭園 ――



「レナぁ……お兄ちゃん、来ないね……」


「コモモお嬢様、クーヤ様は、理由も無くすっぽかしたりしませんわ。何か、やむない事情なのでしょう」


「うん……」




~ 夜 ~



「……やっぱ、もう居ない、よなぁ……」


「あら」


「あ。貴女は確か、コモモのメイドの……」


「レナですわ。……コモモお嬢様、ずっと待ってらしたんですのよ」


「あちゃー……」


「今日はもうお休みになりましたから、お会いにはなれません。お引き取り下さい」


「ハイ……」




―― スマイル団アジト ――



「モモ、ただいま……」


「お帰り、クーヤ。どしたの?この世の終わりが三度訪れたみたいな顔して」


「どんだけ終わるんだよ。……はぁ」


「もっと、ニコニコ……出来そうに無いわね」


「うん……」


「…………」



パーン!


「な……!?


 殴ったね!?親父にもぶたれた事、無いのに!」


「クーヤのパカ!ニコニコしないクーヤなんて……、只の、ロ●コンじゃない!」


「違う!俺は、●リコンじゃ無い!小さくて可愛い物が好きなだけだ!」


「そこかよ!てかそれ、『俺はロリ●ンです』と宣言してるのと同義ジャマイカ!


 兎に角……、ニコニコしないクーヤなんて……、クーヤじゃ無いわぁーっ!」


だっ


モモは、泣き乍ら走り去った。



(モモ……。


 何故そこでいきなり熱血スポ根ノリなのかは解せないが……うん……俺は今、猛烈に感動している……大切な何かに気付いたよ……!)


クーヤの頬は緩んだ。


(俺、ニコニコするよ!いつもいつでもどんな時でも、「ちょwwおまww不審者ww」って周囲に引かれる位、ニコニコするってゆうか、しまくるよ!)




~ 翌日 ~


―― セレブリティ家・庭園 ――



「お兄ちゃん」


「コモモ、昨日は悪かったな」


かくかくしかじか。


「そうだったの。……お兄ちゃん、かっこいい!」


「えっ///そ、そうか?」


「うん!」


「所で、絵は?」


「あ……これだよ」


「へぇ、結構、上手だな」


「うん、コモモ、えをかくの好き」


「俺は描けないな」


「まんが家さんになりたい!」


「頑張れ」


「まんがに、クーヤお兄ちゃんを出す!」


「俺をか」


「タイトルは……………………、




 『Momo』だね!」

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