巨億の愛と 第一部 第一章

 巨億の愛と


 ぼくは『ひも』だ。

 とってもちいさな『ひも』なんだ。


 ほうはくたるこのせかいでさいしょうたんいとなるぼくたち『ひも』はけつけつたるきょむのせかいだった『だいうちゅう』のかいびゃくとともにたんじょうしたんだ。

 ぼくたち『ひも』はみなあいまいもこたる『こころ』をもってたんじょうしさいじたる『ひも』どうしがしょうとつしたりみらいえいごうにわたってけつべつしたりしていんいんめつめつたるきょむのせかいをひょうようしていたのさ。

 ぼくたちの『こころ』はぞうじてんぱいもなくきしせんめいたる『いしき』となっていんだらもうの『だいうちゅうない』でほうはいとしてしょうとつするうちにほうたいたる『ひも』たちどうしで『いしきのこうかん』『かいわ』ができるようになった。

 ぼくたち『ひも』の『いしき』のれべるはせんじょうばんたいとなっていてむちもうまいなる『ひも』があればはくらんきょうきの『ひも』もそんざいした。

 えいごうふめつのつつやみのようなせかい――しゅんがいたる『ひも』は『くろわだ』とこしょうしていた――できせきてきにかいこうしたぼくたちはさまざまなかいわをしてそれぞれにぼうだいなるちしきをでんぱしていった。

 ある『ひも』は「『だいうちゅう』はむかしいっぽんの『ひも』で『きょじかん』というじかんのなかにあった」といいある『ひも』は「『だいうちゅう』が『きょじかん』から『じつじかん』にひしょうしたせつなぼくたち『ひも』のかぞくがたんじょうした」といいある『ひも』は「この『だいうちゅう』はでっかくなったりちいさくなったりしてこんかいでごじゅっかいめの『だいうちゅう』なんだ」といいある『ひも』は「ごじゅっかいめの『だいうちゅう』には『ぎんがけい』や『ちきゅう』がたんじょうするけいさんになる」といった。

 せいかくなるいけんもあればもうろうとしたいけんもあって「『だいうちゅう』は『わいえいちぶいえいち』というおとうさんがつくったんだ」とか「『だいうちゅう』は『ぶらふまー』からたんじょうしたんだ」とか「『だいうちゅう』は『かみぜろぜろいちなないちなな』がぷろぐらむしたんだ」という『ひも』もいた。

 まかふしぎなることにぼくたち『ひも』のあいだでめいちょうとして『いっち』したいけんは「ぼくたちがたんじょうしたときだれかがぼくたちに『こえ』をかけたようなきがする」ということだった。

 ぼくたち『ひも』のいしきはほうはいとしてたんじょうしたじじむちもうまいであいまいもことしていたから『だれ』というのが『だれ』なのか『こえ』というのはどんな『ないよう』だったのかきしせんめいとしてほうふつとできる『ひも』はいなかった。

 ぼうこひょうがの『ひも』たちは「こえは『はじめにことばありき』といったんだよ」といったり「こえは『はじめにひかりありき』といったんだよ」といったり「こえは『うちゅうのしみゅれーてっどりありてぃをせいじょうもーどでさどうします』といったんだよ」といったりしたけれどみなそんなことばはしんぴょうしなかったようだ。

 ぼくもみなとおなじくむちもうまいだったけれど『うちゅうがしみゅれーてっどりありてぃ』だということばはそこはかとなくぼくにきょうみをもたせたんだ。

 けしたる『だいうちゅう』かいびゃくじじからこんなふうにえんえんちょうだたる『かいわ』をしているうちにぼくはいっぽんのきみょうきてれつなる『ひも』とかいこうしたからだった。

 こうじゅたる『ひも』いわく「きみはとくべつな『ひも』のようだね。きみはこれからきょおくの『せいめい』にけいしょうされてゆくだろうがきみの『のうりょく』によってきみをけいしょうしたものたちをまかふしぎなるひきげきにきょうどうすることになる。かようなるうんめいは『こえのぬし』たる『だれか』がきめたんだ。げんみつには『こえのぬし』が『だいうちゅう』というしみゅれーてっどりありてぃのぷろぐらむにばぐをのこすことによってぷろぐらむのしけんようにつくったかそうの『ひも』がきょうざつされたんだ。きみはがんらい『じんるい』の『あい』のぱらめーたをしゅうしゅうするためにこうちくされたいれぎゅらーだ。『こえのぬし』ははっそうのてんかんとしてきみにとくべつなるうんめいをきょうじゅせしめた。こんかいの『だいうちゅう』におけるきみのやくわりは『あい』をしることだ。たんじゅんめいかいなようでいてじゅうようなるにんむだ。きみのしめいがかんすいされれば『せいめい』のなぞをせんめいするけうなるでーたがかくとくできるだろう」ということだった。


 こんなふうに『うちゅう』ははじまったんだ。


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