光と蔭と 第一部 第四章

 ぎよう混濁の日本列島をほうはいとしていつせいふうしていたさんがんたる東京オリンピックを四月後にぎようぼうした六月十六日あいまいとしたわたくしの記憶によればたる神田小学校五年生の教室でせいひつたる理科の実験をしていた最中でした。

 八面れいろうたる純水の沸点の実験だったようにおぼえておりますがあいあいたる生徒たちが火器を使用していたところわたくしはけんじんなる実験用机に接触した刹那疾風迅雷の異変に勘附きました。

『海で大地がさけんでる。大地の『ひも』たちがあばれまくってくるしんでいる。どんどんさけびごえがおおきくなる。なんだろう。すごくこわい気持ちがする』という感慨にひようされたわたくしはこくそくとしながらそうそうろうろうとして実験用机のしたにとんざん致しました。

「なにしてるがあか」ときんじやくやくしたる生徒たちがわたくしをざんぼうしはじめたございます。

 ばくなる北西の方角から百億の猛獣がほうこうするようなごうおんめきしゆもなくけんじんなる神田小学校をげきとうが猛襲しました。


 世界が壊れそうになりました。

 もしかしたら世界は壊れたのかもしれません。

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