第5話「開戦」
8人の勇者とは、フェンリルが戦った勇者である。生き残りはエルフの一員のみ、そして世界ではまた異世界より勇者を呼び寄せた、それが34人の勇者である。
〜ワナヘイム城門前〜
狼煙が焚かれ、攻城戦が始まった。しかし、魔生物の知能と、力の前では簡単に城門は破られてしまった。この戦を担当したオロチの作戦は、上空より敵を撹乱し、弓兵を上へ集中させた。頃合いを見て上空部隊が弓兵を蹴散らし、力自慢のものが門を破壊するという。非常に単純だが、とても効率的な作戦だ。
〜アリエッタ王国王都大聖堂〜
勇者が召喚された。
「よくぞ、参られました。勇者様…今世界は危機に瀕しています。今すぐ訓練し、明日には実践レベルになっていただきたい。らのために強力なスキルを皆様に送らせていただきました。」
「ちょっと待てよ!いきなり戦えだ?やってられるか!」
「そうだそうだ!」
「しかし、召喚されてしまいましたから。目的を達成するまでは元の世界には…」
「…分かった、その任務は安全なのか?」
「いえ、」
「そうですか…」
〜ワナヘイム〜
ワナヘイムは開戦から約5分も待たずに陥落した。そしてそこでフェンリル、ドライグ、オロチ、グリフォンら重要指揮官は作戦会議をしていた。
「恐らくだが昨日召喚された勇者たちはもう実践レベルまで到達してると考えるべきだ。お前たちなら負けないと思うが、一般兵たちは2人以上の相手は出来ないだろう。だから勇者が現れ次第、俺もしくはお前たちを呼ぶよう徹底しろ、まぁそうならないようにはしとくがな。」
「分かりました」
「御意」
「了解」
「明日は二つ目の街、ヘカトンフィアだ。あそこは冒険者が多く、少し苦戦するかもしれないからな。気をつけろよ」
〜ヘカトンフィア〜
軍の配備、士気の向上、装備の点検、全てスムーズに行われている。そして開戦する頃には勇者たちも到着すると思われる。だから俺は少し早めに勇者の力を確認しに行こうと思う。
勇者たちの乗る馬車が見えた。俺は上空から人型のまま降り立った。
「こんにちは、私は魔生物共和国の総指揮官、フェンリルと申します。」
「?!!!!!」
勇者たちはとても驚いている。それはフェンリルが現れたからでも、フェンリルの強さが分かったからでもない。彼らの元の世界の日本語を話したからである。
「お前も転生者なのか?」
「いや違う、2000年前の勇者の脳内をスキャンし学習した。」
「なるほど、そういう」
「なに呑気に話しているのですか?あやつは我々の最終的な敵です!今ここで、倒します!」
「そうか!なるほど!じゃぁ死ね!」
俺は最初に突っ込んできたチンピラのような男の爆発する拳を人差し指で止めた。
「なるほど、打撃と爆破、そして煙による目眩し、上手く使いこなせれば厄介だろうな。」
「へへ、よく分かってるな。なのになんで、他の奴らを見失ったんだ?」
やはりか…こいつはただ、馬鹿のように突っ込んだ訳ではないのか。自分を囮にし、他の奴らを死角から攻撃させる。
「元橋!今だ!」
「あぁ!任せろ!シャイニングスラッシュ!」
おれは刀を少し抜いた。その瞬間全ての勇者がそこに跪いた。
「たかだかこの程度のプレッシャーに負けるとはな。鍛え直した方がいい。それに王を守れればそれでよかろう?あと、今回の街を占領したらしばらくは侵攻しない。思ったより勇者たちが弱くてな」
俺はすぐにヘカントフィアに戻った。そしてここも前回のように難なく攻略できた。あとは勇者が強くなって面白い戦いが出来るようになるまでは待とうか。
次回「勇者」
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