即オチ2コマのスピードで
「――あっは、ということで、これからよろしくね、勇者様? あ、元勇者様か」
嘲り嗤うオフィーリアの言葉がこのひどい状態のエランに届いているのかはわからぬ。なんとも無様な姿だ。この蕩けきった顔で勇者は無理でしょ。
エランのような何の穢れも知らぬ子どもには、オフィーリアとグロリアのような女は毒だろう。しかも強力で依存性のある甘美な致死毒。
いや、実際サキュバスとしてのオフィーリアの魅了はエランのささやかな理性を情緒ごと破壊するだろうし、グロリアのなめらかな身体から溢れ出る媚薬やグロい触手はもはやそれなしには生きれぬほどの快楽となって彼の身体に深く刻み込まれるだろう。
もうこうなってしまってはまともに生きることはできない。勇者となって冒険へと旅に出るなどもっての外だ。逃れることのできない愉楽に溺れ死ぬ。
若い芽は早いうちに摘んでおいた方がいい。こやつは神に選ばれし勇者だ、その才能は計り知れぬ。
将来、我が娘の脅威になるやもしれぬからな。
「う、あ……」
淫靡な誘惑に憑りつかれ、息も絶え絶えに焦点の合わない目でこちらを見つめるエラン。その弱々しい輝きが助けを懇願しているのか、もしかしたら、彼にはまだ理性、というか、我を助けたい、という強き意志が残されているのか、我にはもはやわからぬし、興味も関心もない。
「堕ちてしまった方が楽なのに、エランは強いなあ」
「……ヘ、ラ……?」
少年はもう何も考えられない。その頬にひやりと触れる我が右手にさえびくりと敏感に痙攣する。
我の嗜虐的な笑みを、もしかしたらこのドエロい魔物達が引き起こす最低最悪の幻惑の類だと思っているかもしれぬ。
それはそれで、少年にとっては救いなのかももしれぬ。最期に救った可憐な美少女がこんな嘲笑を浮かべて凌辱されている自身を見下している、なんて悪夢以外の何物でもないだろうからな。
「では、そなたらはそこでエランと存分に戯れていろ、我は引き続きこの地を査察する」
エランの頬に触れていた右手で彼の蕩けきった身体を悪戯にゆっくりと撫でてみる。不意の快楽に、白目を剥いて獣じみた唸り声を上げるエランの様子に思わずにやりとしてしまう。
「承知しました、ヘラ様、彼の洗脳は我々にお任せください」
無表情ではあるがどことなく上気したグロリアがぬるりと蠢く度、情けない喘ぎ声を漏らすエラン。その触手、えっぐ。
「勇者なんてなかなか壊れないレアなオモチャだもん、ゆっくりねっとり遊んであげるね」
耳元に吹きかけられるオフィーリアの甘い吐息に、少年はガクガクと痙攣じみて小刻みに震える。魅了と催淫、それに幻惑もか。抗う方が辛かろうに。
やるからには徹底的に、ショタには容赦せぬ。
たとえ幼くとも相手は勇者だ、二人がかりで足止めしている、と言えば、ステラも納得してくれるだろう。エランはステラが憎悪するショタだし。
それに。
あやつがいるところに行くには我一人の方がなにかと都合が良い。
「では、我は行くぞ」
「はーい、行ってらっしゃーい、ヘラ様」
「ヘラ様もお気をつけて」
なんか色々と昂っているのか、ずいぶんさらっと送り出されたが? あやつら、我よりもあんなちんちくりんのショタの方がいいのか? 我だって結構カワイイと思うのだがなあ。
「ま、あやつらも勇者を嬲るのも飽いてそのうち我と合流するだろう」
いかんいかん、我は何を考えているのだ、あのエロい光景にあてられてしまったのか。あやつらは我を襲う気満々だったじゃないか。そんな貞操の危機から一時的にでも離れられたのだ、喜ばしいことじゃないか。
むせ返るほどの濃い色欲が漂う、あの部屋の甘い空気のような気迷いを振り払い。
我はあやつらと合流する前に、本来の目的であるこの領地の主であるズズィーとその本拠地を査察せねばなるまい。
「……ふぅ、ようやくいちいち夜襲われないで眠れるな」
おっと、いかんいかん、本音出ちゃってた。
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