第2話 side魔王

一目惚れだった。

現れた五人の人間。

中央に立つ人間の光を凝縮した様な煌めく金髪。私を真っ直ぐ見つめる碧眼。

彼が纏う鎧は、彼の凛々しさを一層引き立たせている。


「貴様の悪事もここまでだ!魔王!」

剣を携えた男が勇ましく叫んだ。

(彼の瞳は見つめていると引き込まれそう)


「貴女のおぞましき所業を神はお許しになりません」

祈るように両手を組んだ女が悲しげに語る。

(差し込む光に照らされる姿は、まるで絵画の中から抜け出た様……)


「汝を打ち取り、世界に平和をもたらしてみせよう」

杖を掲げる男が厳かに告げる。

(彼と言葉を交わしてみたい。私に微笑んで、話しかけてほしい)


「お前を倒し、悲劇の連鎖を止めてみせる!」

弓に矢をつがえた女が決意を込めて言い放つ。

(この胸の高鳴りを、なんて表現すれば良いのかしら)


そして、四人が中央に立つ勇者を見て、彼の言葉を待った。

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