運命は手招き、二人は出会う

天木 るい

第1話 side勇者

一目惚れだった。

魔王上の玉座の間に立つ魔王。

風になびく濡れ羽色の髪。自身を見つめる紅い瞳。

彼女が纏う戦装束は彼女の美しさを際立たせていた。


「貴様の悪事もここまでだ!魔王!」

右隣に立つ騎士アルフレッドが勇ましく叫んだ。

(ああ、物憂げな表情をしていても美しい。彼女が笑えばきっと…)


「貴女のおぞましき所業を神はお許しになりません」

左隣りに立つ聖女リーリアが悲しげに語る。

(髪を耳にかける仕草もかわいい。少し傾げた顔が彼女の可愛さを引き立てている)


「汝を打ち取り、世界に平和をもたらしてみせよう」

右斜め後ろに立つ、賢者ゾディが厳かに告げる。

(彼女の瞳に僕だけを映してほしい)


「お前を倒し、悲劇の連鎖を止めてみせる!」

左斜め後ろに立つ、斥候のエーラが決意を込めて言い放つ。

(この溢れる思いを彼女に告げたい)


そして、四人は中央に立つ勇者のを見て、彼の言葉を待った。


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