第63話 サイト③

「なんかさっきから変な人がいない?」

「変なのがいるみたいだけど、喉が変でそれどころじゃない」

「何かいる・・何かいる」

 書き込みの様子がおかしい。それに、生徒とは思えない書き込みが数件混ざっている。

 生徒の数が次第に減り、おかしな書き込みの数が増えていく。


「あれ・・みんな、どこに行ったの?」

 書き込みの生徒の数が減ったことにようやく気づいたのか、残った数人の生徒が叫ぶように書いている。

「画面がおかしいよ! 画面に変な顔が・・」

「画面が変、頭の中の音も変・・」

「この顔、誰?」

 少女たちのディスプレイに誰かの顔が映っているようだ。

「知らないよ。それより、変な音がする。頭の中で、カリカリって」

「カリカリ・・カリカリ」

「頭の中が引っかかれるみたい」

「喉の奥に何かが、詰まって苦しい・・」

「苦しい、苦しい。先生も苦しい。先生はもうダメ」

「えっ、先生が? 先生に何かあったの?」

 少女たちの声がここまで聞こえてくるようだった。


「やだ・・口から血が出てきた!」

「体の中に、何か、いる」

「ぐちゅぐちゅ、ぐちゅぐちゅ」

「何よ、それ! ぐちゅぐちゅって?」

「あんた、誰?」

「そっちこそ誰?」

「ちょっと、これって、絶対に変だよ!」


「変なのは、あなたたちだ」

 

それを最後に、書き込みは途絶えた。十分経っても、誰も書き込んでこない。

 

 そして、しばらくすると、さっきの「ヒロミに何かしたら、許さない」というコメントが入ってきた。一度、出現すると、それは、文字の羅列のように繰り返された。


「ヒロミに何かしたら、許さない」

「ヒロミに何かしたら、許さない」

「ヒロミに何かしたら、許さない」


 これも生徒の書き込みなのか? 裕美の言っていた友人なのか?

 そして、最後の文字の羅列を生徒たちは見ることができたのか?


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