第2話

 曲が終わると、次の動画が運ばれてきた。

『どうもこんにちは、えねえね―………』

 挨拶の途中というタイミングで大げさな効果音が鳴り、声がかき消される。

さっきの人だ………けど、編集の初心者感凄いな!!!?

『今回は、ちょっとお手伝い?してくれる人?的なのを募集しようと思いまして~』

 生活感の溢れる机を写しながら喋り続ける。

『やりたいなって方はメッセージお願いします!』

 その言葉を聞きながら色々確認してみる。

視聴回数が2回…ということはあげられたばっかりか…?

というか…、人気ないんだな……。

『内容は、主に編集です。あと企画を提案してもらったり…です!えー、これで終わります!興味がある方は是非、メッセージお願いします!』

 お手伝いか…。

さすがにやらないけど、この編集はどうにかしたほうがいいのはいいだろうな〜…

この人の名前なんて未来で聞いたことないし、このまま消えたのだろう。

だれか申し出たり…。そう願い、えねえねさんのアカウントを覗いてみる。

 出してるのは前の動画だけみたいで、再生数は少ない、コメントも少ない。

…やろうかな、編集。

僕はこの人が好きなのに、消えていくのを止められるのに何もしないのはあれかな…。

 それに、編集技術には少し自信がある。

といっても流石に思い切りすぎた判断な気がする。

 …まあとりあえずフォローはしておこう。

そして、僕はまた音楽を聴き始めた。


 少し、時間が経ち。

 僕は、結局えねえねさんへのメールを開いていた。

…後悔、するかなあ。

とまあ、とりあえず文字を打ち込んでみる。

『動画見させていただいてます!素敵な歌声いつもありがとうございます…!

お手伝いの件ですが、させてもらってもよろしいでしょうか?』

 ……こんなもので良いのだろうか。

文面と心の声の温度差に自分でもちょっとビビる。しかしネットってだいたいこうだ。

そんな事を思いながらじーっと画面を見つめる。

 …まあ。いいや。馬鹿なことはやめよう。

そう思い画面下に書かれたタスクボタンにタッチしようとすると指があやふやに送信ボタンを押した。

あ!?

なんとも言えない感情が押し寄せてくる。

…今日二回目の誤タップだよ…。(1回目は1話にあります)

 いいや。きっとこれも運命だった、そういうことにしておこう。…多分送信を消しても微妙な空気になってしまうし

 よし、じゃあもう適当に時間潰すか…。



 ピロン!

軽やかな音がスマホから大きく鳴る。

うわあ…返信きちゃった…

嫌な気分になりながらアプリを開き、ショックを受けないよう片目を閉じる。

えねえねさんからきた内容はこうだった。

『うわ!是非是非お願いします!採用です( ´∀`)bグッ!

ギターお上手ですね!これから宜しくお願い致します!』

 うっ……まさかこのころ上げてたギター動画のことを突っ込まれるとは…

というか、軽いな…大丈夫かこれ。といっても14歳の方らしいので当然といえば当然か。

「…どーしよっかなあ。」

 どうするもどうしないのにそう言って、床に言葉を投げた。


――えねえね、現在14歳。

諸事情により学校は行っていない(不登校)。

歌ってみた動画を中心に活動中。

クールの歌声が特徴でいつも黒猫の被り物をしている。





 僕はその後1週間ほど過去の世界で過ごした。

高校に通うのは荷が重かったが流石に行った。

 …そして今。僕はパソコンに向かって声を唸らした。

編集って…地味にきつい。






























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