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 屋上での決戦が決着へと迫る少し前のこと。同ビルの一階での戦いは終わりを告げていた。

「──ハァ、ハァ。面白えもんだな、魔法ってやつは」

「──フゥ。誰にもいうなよ? でないとお前をここで殺さなければいけなくなる」

「ハッ。俺はクスリを疑われんのはごめんだ」

 沖田と江崎はその数、実に二十の兵隊を壊し尽くし、戦いを終えて共にしゃがみ込んでいた。

「さて、私は屋上へ向かうが、お前は?」

「これで貸し借りなしだって言っとけ。俺はもう帰る」

 話しながら、沖田は江崎が腹部を手で押さえているのに気づく。

「……何発だ?」

「一発だ。別に初めてのことじゃねえ。前にヤー公と揉めて腹に食らったことがある」

「見せてみろ。私の魔法で治せる」

「せっかくチャラにしたばっかだってのに、また新しい貸しを作るわけねーだろ」

「そうか。……お前、長生きできそうにないな」

「知るか。俺はやりたいようにやるだけだ」

 脂汗を額に浮かべながら、江崎は立ち上がってビルから出ようとする。

「おい。病院に行くなら──」

「心配すんな。知り合いにモグリのヤブ医者がいる。てめえらのことも話さねえよ。何度も言ってんだろ。俺はクスリが大っ嫌いなんだ」

 そう言ってよろけながら江崎は去っていった。

「──さて、私も休んでるわけにはいかないな」

 沖田は装備の確認をする。散弾銃は弾切れ、回転式小銃は残り六発。最後に使ったナイフに刃こぼれはない。

 ただの荷物になる散弾銃は壁の隅に転がし、屋上へと足を向ける。

「──生きててくれよ。死んだやつまでは治せないからな」

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