第3話ハロウィン鬼ごっこパート3

壱番街街中

春猿火達が夢中になっている時、街中が多くの人がコスプレ姿で歩いてる中、一人の少女がイヤホンで音楽を聴きながら帰路についていた。

ある一軒家につき、少女は扉を開いて中に入った。

家に入ってきたのは、ドラキュラのコスプレをした青髪に赤インナーをした少女——理芽が買い物袋を持ちながら帰ってきた。

「ただいま~」

返事が返ってこず、不思議に思いながらリビングに向かうと笑い声が聞こえてきた。

そっと中に入って見てみると、そこには春猿火が皆に囲まれていた。

すると、春猿火が理芽に気づき声をかけた。

「りめちおかえり~」

ヰ世界情緒達は振り向いて理芽に気づき「おかえり」っと言った。

理芽は扉を閉めて春猿火達の方に向かった。

「ただいま、何騒いでたの?」

買い物袋を置いて椅子に座った。

春猿火は笑みを浮かばせながら抱いていた花譜を理芽に見せた。

「りめち、これなーんだ?」

それを見て理芽は目を見開いた。

「赤・・・ちゃん・・・?」

「そうだよ」

「え?この子だ・・・——」

いきなりのことに困惑した瞬間、理芽は察して思わず口元を抑えた。

「春姉・・・おめでとう・・・」

何を言ってるのか分からず一瞬思考が停止したが、すぐに察した。

「いや違うよりめち!私まだ結婚してないから!」

「え?そうなの?」

理芽は安堵の息を零したが、疑問は消えなかった。

「じゃあ誰の赤ちゃんなの?」

春猿火は花譜の頭を撫でながら告げた。

「この赤ちゃんは花譜ちゃんだよ。情緒ちゃんの実験に巻き込まれてこうなったの」

「え!花譜太郎!?言われてみれば確かに・・・」

花譜の顔をまじまじと見ると、不意にあることを気がついた。

「あれ?じゃあなんでお情は赤ちゃんになってないの?」

「私は素材に免疫があるから赤ちゃんにならなかったみたい」

「そうなんだね。お情の赤ちゃん姿見たかったな・・・」

そう呟くと、理芽は春猿火の方に手を伸ばした。

「それよりも春姉、あたしにも花譜ちゃん抱っこさせて」

「いいよ」

春猿火は理芽に花譜を渡すと、理芽は嬉しそうに花譜の抱きしめた。

抱っこすると、目を輝かせながら人差し指で頬をつついた瞬間、花譜は小さい手で理芽の人差し指を握った。

「!」

理芽が驚いていると、花譜は掴んだ指を自身の口の中に入れた。

その瞬間、理芽の脳は回転した。

(え?可愛すぎない?花譜太郎の頬つついたことあるけど今までにないくらいに柔らかいんだけど!?あの感触マシュマロ以上でしょ!いやそれよりも何あたしの指口に入れてるの?は?可愛すぎなんだが?え?これ結婚OKだよね?てかいいよね結婚しても?そもそも花譜ちゃんあたしのこと好きだしあたしも花譜ちゃんのこと好きだから結婚してもいいよね?いや今の花譜ちゃんの状態だと家族の方が正しいか・・・今から役所行って出産届け取りに行ってサイン書こ・・・)

約0.1秒で脳内で決定して、思わずにやけるが、春猿火たちは全く気づいておらず、花譜を見て柔らかい声を出した。

「あぁ~花譜ちゃんがりめちの指ちゅぱちゅぱしてる~」

それを聞いたヰ世界情緒達は花譜の顔を見て癒された。

「あぁ・・・かわいい・・・」

「嗚呼・・・良き・・・」

「いいね・・・」

四人はふるゆわな表情をしていると、いきなり理芽は立ち上がった。

「理芽ちゃんどうしたの?」

幸祜がそう言うと、理芽は予想外のことを口にした。

「ちょっと役所に行ってくる」

「なんで!?」

当然の反応をする幸祜に、理芽は当たり前のように答えた。

「花譜太郎をあたしの家族にするよ」

衝撃な事を聞いて四人は驚いているが理芽はそれを無視するかのようにウインクをしていた。

花譜を抱えながら買い物袋から財布を取り出した。

「それじゃあ行ってくるね」

「え、あ、ちょっと!」

春猿火が止めようとしたが、理芽は既にリビングから出ていった。

「えっと・・・どうします・・・?」

シエルが聞くと、春猿火はため息を吐きながら答えた。

「止めに行くよ」

「え?行くのですか?さすが冗談だと思うのですが・・・」

その言葉にヰ世界情緒は首を振った。

「いや理芽ちゃんのあの目、本気だったよ・・・」

ヰ世界情緒の言葉にシエルは幸祜に視線を送った。

「理芽ちゃんって花譜ちゃんの事が大好き過ぎるからね・・・正直不思議でもないよ」

シエルは今までの事を思い出すと何処か納得したように頷いた。

「あと何分で元に戻るか分からないけど、早いうちに花譜を取り戻そう」

ヰ世界情緒がそう言い、全員理芽の後を追った。

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