第25話 初☆アイテムボックス!
カーテンをすべて集め終え、ランドリーシューターへ落として、私とキールは一階のランドリールームへと戻った。
カーテンは思った以上の量があり、当然一度では洗いきれないため、洗濯機を回しながらその間に掃除を進めていく。
「洗濯機と別に乾燥機があってよかったわ。あれだけの量があるんじゃ、干すだけでも重労働だもん。どこに干せばいいのかもよく分からないし」
「だなー。家事の効率化には金かける主義だからなあいつ」
「魔神だしお金はありそうだもんね。むしろ常駐の使用人がいないのが不思議すぎるわよ。今までよく回せてたわね? しかもそこそこ綺麗だったし!」
「基本誰も信用してないから、極力誰も家に入れたくないんだよ」
キールとあれこれ話をしながら、掃除をしつつ乾いたカーテンを各部屋へ戻すという作業を繰り返した。
「――ふう。疲れたね。そろそろお昼ごはんにしようか」
「おう。あの、料理は……」
「ふふ、任せて! 今日はサンドイッチにしようと思ってるの。せっかくあんな素敵な庭があるんだもん。二人でピクニックしましょう!」
「……おまえ本当に自由だな。分かった。じゃあオレは掃除の続きをしとくよ」
私はキールに洗濯と掃除を任せて、キッチンへ向かった。
サンドイッチには、オーソドックスにレタスとハム、マヨネーズ、卵フィリングをたっぷり挟む予定だ。
卵フィリングは塩コショウ、マヨネーズ、それから砂糖を少しと――あれば辛子かマスタードも混ぜたいな。
「――そうだ、刻んだロタスを混ぜてもおいしいかも!」
卵を茹で、みじん切りにしたロタス入りの卵フィリングを作り、パンにマヨネーズを塗って具材を挟んでいく。
包丁があまり切れなかったらどうしよう、と少しドキドキしたけど、さすがライト。
ばっちり研がれていて切れ味抜群だった。
「ふふ、綺麗に切れたわ! あとは果物も少しもらっちゃおうっと!」
りんごでうさぎを作って、ペーパーナプキンを敷いた箱にサンドイッチとともに詰め込んでいく。よさげな箱があってよかった!
あとは取り皿とカトラリー、飲み物とカップを用意して……。
――それにしても、シンプルなものとはいえペーパーナプキンまであるとはね。
もしかしてお菓子作りもするのかな?
この間、なんの迷いもなく完璧なチョコソースを作ってたし。
今度はライトも一緒にピクニックできたらいいな。お茶会も楽しそう!
「キール、できたわよ」
「おう、ちょうど五階のカーテンの乾燥が終わったとこだよ」
「けっこうな量よね……一度に運べるかしら? ――あ、そうだ!」
こんなときこそあれじゃない?
ずっと気になってたアイテムボックス!
「ちょっと試したいことがあるんだけど、いい?」
「え、いいけど何? オレが言うのもなんだけど、あんま無謀なことはすんなよ。何かあったら、怒られるの絶対オレだろうし」
「多分大丈夫――だと思う」
ええと、これってどうやって使うんだろう?
ステータス画面を開いて詳細を確認してみたけど、細かい説明は何も書かれていなかった。やっぱり雑!
うーん。ラノベやアニメだと、なんかこう、物理的なアイテムがない場合は手をかざして異空間へ移動させるイメージが多いよね……。
私は日本で見たそれをイメージしながら、カーテンの山に手をかざしてみた。すると。
一瞬カーテンがぼんやりと光り、シュッときれいさっぱりその場から消え去った。
「!? え――カーテンが消えた!?」
「ふふ、大成功ね。あとはこれを――」
アイテムボックスへ収納したカーテンを取り出すイメージをすると、先ほどとまったく変わらない姿でカーテンが現れた。
すごい、こんな簡単にできちゃうなんて。これなら一度に運べそう!
「おまえ、転移魔法使えるの!? え、なんで? ライトの召喚獣だから?」
「うーん、よく分からないんだけど、なんか使えるようになってたのよね。転移魔法じゃなくてアイテムボックスだから、あくまで収納って形なんだけど」
「あ、アイテムボックス? 聞いたことないな……。でもそういう物質を転移させる系の魔法って、そこそこ高位の魔法だぞ? オレは使えないもん」
あれ、そうなのね?
ライトが当たり前に使ってたから、程度の差はあっても魔族はみんな使えるんだと思ってたわ。
「……悪いんだけど、一応ライトには黙っててくれる?」
「えっ!? え……いやでも……。まあ、分かった」
「ありがと♪ それじゃあ、五階の庭に行きましょう!」
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