第5話 私、召喚獣で聖女ってどういうこと!?
「――そういえば、必要なもの書いてくれた?」
「えっ? あ、ごめん。忘れてた」
「ないと困るだろうから、夜までには書いておいて。あとでサヴァントの誰かに買いに行かせるから、怖い思いをしたくないなら家から出るなよ」
ライトはそれだけ言って、再び姿を消してしまった。怖い思い!?
ライトのお母さんも殺されたって言ってたし、しかもそれが「よくあること」らしいし、いったいどんな世界なのよ。でも――。
「もしかしてあの子、私の様子を見に帰ってきてくれた……?」
い、いや、まさかね。偶然よね。
――それより、さっきライトが言ってた回復魔法って何だったんだろう?
もしかして、よくある転生ものみたいに特別な力を手に入れたとか?
食器を片づけたあと、与えられた自室へ向かいながら、私はさっき言われたことを思い返していた。
そんなことあるわけないと思いつつも、やっぱり気になってしまう。
私だって「魔法が使えたらいいのに」くらいのことは何度も思ってるし、使えるものなら使いたい。
「……す、ステータスオープン! ……なん、てえええええええ!?」
ブオン!
冗談半分でそう口にすると、なんと目の前に、異世界転生ものでよく見る半透明の画面のようなものが現れた。
そこには、名前や種族などいろいろ書かれている。
「ほ、本当に出た……けど……え?」
**********
名前:朝宮陽葵
属性:魔神ライトの召喚獣/選ばれし聖女
スキル:【癒しの料理】(作った料理に回復効果を付与)、【聖なる光】(いろんなことに役立つ光)
所有アイテム:アイテムボックス
所持金:552フェル(1フェル=10円程度)
**********
ちょっと待って。何なのこれ?
魔神ライトの召喚獣なのも気に食わないけど、それは召喚されてしまった現実があるからいったん置いておくとして。
選ばれし聖女って何?
私今、どういう状態なの!?
「でもそれなら、ライトが言ってた回復魔法って【癒しの料理】の効果だったってこと? もう一つのスキル【聖なる光】は――ちょっと説明雑すぎない!? 何にどう役立つのよ……」
あ、でも「アイテムボックス」がある。
これ一度使って見たかったのよね。
所持金は、552フェルで1フェル10円程度――ってこれ多分、私のお財布の中身そのままだわ。
こんなことになるなら、もっとお金を入れておくんだった……。
最近はスマホの電子マネーを使うことが多かったからなあ。
でも、お金の価値を書いてくれるのは分かりやすくて助かるわね。
「……そういえばライト、ステータス画面について全然触れてこなかったな」
知ってるなら真っ先に聞いてきそうなものだけど、そんな単語すら出なかった。
ってことは、みんなが見られるわけじゃないのかな?
これも、いわゆる転移ボーナス的なやつ?
――にしても、選ばれし聖女とか【聖なる光】とか、説明を読んでも分からないことが多すぎるわ。
転移ボーナスならもうちょっと親切な説明を用意しておいてほしい。
でもよく考えたら、私を召喚したのって魔神――つまり魔族よね。
それを考えると、転移ボーナスがあっただけまだマシなのかも。
一応、魔神も神様の一種だとは思うけど。
でもライトの話を聞く限り、私の魔族に対するイメージから大きくは外れてなさそうだし。
状況が読めない今は、とりあえず私の属性がライトの召喚獣で、スキル【癒しの料理】を持ってるってこと以外は黙っておいたほうがよさそうね。
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