第89話 乱子ちゃんのちょこっと解説 〜『金山』について〜

 金沼家が世界規模の富豪にまで繁栄したその原点は、『きん』であるという。


 それが金の採掘なのか金の売買なのか、私も詳しいことは知らないが、一説には古代日本において『中尊寺金色堂』で知られる奥州の金鉱床のほぼ全域を掌握していたらしく、時の朝廷から絶大な権力を与えられたのが金沼家の起源だという。


 また、日本各地の主な金産出地には非公式とされているものの、金沼家の所有を裏付ける資料や史跡が存在するらしい。


 ……なんとも嘘臭い話だが、それが本当なら金沼家は平安時代から存在して日本の金産業を影で支配し、それがマルコ・ポーロの東方見聞録にも影響を与えたのかもしれないというなんとも壮大なロマン溢れる物語である。


 いや、私も正直なところ眉唾物だとは思ってるんだがしかし、現在の金沼家が金の取り扱いで莫大な利益を得ているのも事実なのだ。


 とにもかくにも、前述の伝説が嘘かまことかはさておき、金沼家にとって『金』というものが重要且つ特別なものであることは間違いがない。



 それを踏まえて、『金山きんざん』である。


 結論から言えば、それは金沼家の嫡子にのみ伝承される家伝の『武術』である。


 実を言うと私も過去に二度、金山の使い手とまみえたことがある。


 一度目は戦国の世。

 まだ私が猿飛の技を磨いている最中さなか


 二度目は現世。

 凛子に憑依していたあの頃だ。


 数百年の時を経ても金山の輝きは褪せること無く、寧ろさらに美しく煌めく。


 それもそのはず、金山は進化するのだ。

 その理由は後程。

 今は総国の金山だ。


 彼が父・超越郎から託される金山は如何様いかようなものか。


 未だ『採掘中』であろう総国の金山の輝きは如何程のものか。


 果たして私は三度目の敗北を喫するのか、

 それとも三度目の正直となるか。


 いずれにせよ、これ程に興奮を覚えるのはいつ以来か。


 ……さあ、宴が始まるぞ!!

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