episode4.6
敵襲の声に、外が騒がしくなっていく。武器の擦れる音、人々の叫びがこだまする。それが、ルミナ達がサザンクロスの家を出て、最初に出迎えた世界だった。
人々は自身の持ち場へと着く。短期間で急造された戦士とも呼べる者たちの精一杯の行動であった。
「私は行く!君達も決められた持ち場に着いてくれっ!」
「待ってください!」
「……どうした、ルミナ」
「私も行きます……!私が前で戦わなくては、彼女たちの望みを叶えられません!」
「……そうだな。なら行くぞ!」
「はい!」
サザンクロスの一声に応じて、各自が散会、持ち場へと着く。
「ちょ、待ってくれ!!」
持ち場を決められていなかったクレスは他の人にそう言ったが、声は届かない。
「クソっ!!」
◎◎◎
戦闘体制へと成り変わった戦士たちの前に、遠方から現れたMETSISとそのロボットたち。そしてその最前線には、ルミナとサダルの姿があった。敵襲の声から約五分の出来事である。
互いに決戦、という意識を持っていたためか、それぞれが沈黙を貫いていた。やがて、サダルが声を上げる。
「ようやくこの日が来たっ!人間たちよ!……貴様たち、人間という種がこうして、私たちによって!粛清される日がなっ!!」
その掛け声に、METSISたちやその傀儡となるロボットたちの無機質かつ生命感のない反応が飛び交う。
そして、サザンクロスも同じように声を上げる。
「貴様たちアンドロイド……そしてMETSIS!!我ら同胞の、人間の!!その屈辱……ここで返しっ!永遠の眠りへとつかせてやるっ!!」
そのサザンクロスの声に、戦士たちが様々な声色でしかし、同じベクトルの声を上げる。
空気は弛緩し、そして急速に。戦いへと収束していく。次の瞬間——
「「かかれ!!!」」
それぞれの尊厳を得る戦いが、切って落とされた。
両陣営前線に立つ者たちが敵陣営へと向かっていく。ロボットたちは無機質にその身体を震わせ、戦士たちはある程度走ったところでその動きを止めた。前線隊の一人が、言う。
「砲撃よーい……ってぇぇ!!!」
黒い円筒から順々に衝撃と、煙。その次、着弾。
その放たれた弾丸たちがロボットへと直撃し、その爆風に巻き込まれた、後ろのロボットたちも倒れていく。
「次来るぞー!!!」
「交代!構えっ!!」
そうして戦士たちが交代で放つ砲撃に、ロボットたちは倒れていくばかりであったが——
「おいっなんか飛んでるぞ!!」
前線でない戦士一人がそう告げる。人間一人、またひとりと空を見上げる。するとなにやら
「あれは……!ロボットだぁ!!」
「撃て!撃てえぇ!!」
そうして上空に対ロボット用ライフルを構え、様々に撃つが当たっている様子はない。すると上空の飛行ロボットから何やら弾頭が放たれる。誰かが言う。
「退避!!伏せろぉ!!」
弾頭が分かれ、熱のやなぎが降り注ぐ。地面へと落ち、爆発。地上は瞬く間に煙と血の匂いが充満していた。
そうして各陣営が戦闘を繰り返している中ルミナは、一人敵陣営へと乗り込みMETSISたちの元へと急いでいた。
立ちはだかるロボットたちの攻撃を避け、なぎ倒し、そうして向かう。すると突然、まるで巨大な猛牛に突進されるかのような衝撃を受け、両陣営部隊から離される。
「……あなたは!」
「よう……アタシとお前、どっちが強いか勝負だぁ!!!」
突進と同時に抑えられていた状態から復帰し、両者一定の距離を保って立つ。
ルミナに突進してきたのは、METSISのアルデスである。既に十二宮兵器を使っているのか、赤い粒子が燦然と輝く。それに対してルミナも十二宮兵器を起動させる。こちらでは緑の粒子が排出されている。
「サダルや他のMETSISはどこですか!?」
「……あ?んなこと聞いてどうすんだよ?」
「…‥私はあなたたちを守るためにここに来ました!サダルと話を——」
「そんなもん、関係ねぇだろ」
そうしてアルデスは構えを一層深くする。
「人間には多少の恨みはあるけどよぉ……ワタシは、アンタと戦うためにここに来たのさ!だからサダルのとこに行きたいなら、アタシを殺してからにしな!!」
「……!!」
どうすることも出来ないルミナは構えるしかない。ここでルミナが負けてしまえば、METSISたちに対抗する術を無くすからだ。そうして両者睨み、ある言葉と共に力を解放する。
「《金牛宮器:アルデバラン》っ!!!さあ、アンタとワタシ……どっちが強いか勝負だぁ!!!」
「くっ……!!」
互いの色の違う粒子が一層飛び交う。
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