第24話 センタク
回る洗濯機、ザァザァと流れるままのシャワーの音、何よりも大きく響く、あたしの鼓動。
あぁ、あたしの選択は間違っていたのだろうか。
たとえ間違えていたのだとしても、もう戻れない。なかったことにはできない。
せめてもの手向けに、あたしが死ぬまでは綺麗にしていてあげよう。
あたしは頭を抱え、覚悟を決めた。
『そしてそのお姫様が私ってわけ』
お姫様が、首だけになってあたしの前に現れたのは何のためだろう。
何も食べず、眠らず、四六時中あたしを見る二つの瞳。鈴のような声でコロコロと笑う美しい少女は、あたしのしたことなんて何も知らない。
少女の髪を梳く間、あたしは童心にかえっている。幼い頃の自分の髪を、今のあたしが梳いているような感覚。お姫様の世話を焼きながら、あの日のあたしを可愛がっている。
お姫様を見て自己嫌悪に陥る自分と、お姫様のお陰で救われている自分がいる。あと一週間。あたしは丸く綺麗に磨かれて、一思いに割れるのがきっと、いい。
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