第23話 白
お姫様の首の断面から覗く骨がとても白くて、あたしはそれを見る度になんて綺麗なのだろうと息を漏らす。
骨なのだから、白くて当然と思っていた。けれど実際にはそんなことはなくて。どんなに肉をこそげ取ったって綺麗にならない骨もあるのだ。薄汚くて、ヒビの入った、価値のない、骨も。
「アナタ、人の世話をする仕事でもしていたの?」
「どうして?」
「だって、髪を洗うのも乾かすのもとても上手よ。侍女の誰よりも上手だわ。アナタがもしお城で働いていたら、私の専属にしてあげてもいいくらいに」
「それは何より」
「私を運ぶ手付きも丁寧だし、誰かに仕えていたとか?」
「…………まぁ、そんなとこ」
「やっぱりね!」
「生首の扱いには慣れてるし」
「何か言った?」
「いーや。今日の入浴剤はどの匂いにしようかと思ってね」
「嗅ぎ比べさせてくれたら選んであげるわ!」
「はいはい。持ってくるから待ってて」
お姫様が入らないよう、外から鍵を掛けた部屋。扉の隙間から漏れ出た冷気が足を掠めて涼しかった。
風呂場の手前の廊下。クローゼットの中にある大量の入浴剤の中から適当に選んで持っていく。
お姫様の選んだ入浴剤を入れた湯船は、白く、濁った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます