第17話 額縁

お城に入ってすぐ、大階段を上った先にはお姫様たちの巨大な肖像画が飾られています。

王様、お妃様、王子様、そしてお姫様。

四人の華麗なる肖像画を、細かな装飾が美しい額縁が飾り立てていました。

肖像画と言えば実物よりも美化されていることが多いですが、この肖像画もまたそうでした。

王様の大きなお腹は見る影もなくシュッとしているし、お妃様の顔にはシミひとつなく低い鼻がツンと高く尖っています。赤ら顔の王子様は精悍な顔付きで、お姫様のキツい目元は甘くにこやかに描かれていました。

四人全員が満足のいく肖像画が出来上がるまでに、何十人もの画家がお城を訪れ、そして去っていきました。結局四人の画家が描いたそれぞれの絵を、最後の一人が一枚にまとめ上げることになり、それでも画家たちは、もう無茶を言われないことに安堵の溜息を漏らしました。


「はぁ……あの肖像画も失われてしまったのかしら……せっかくの可愛い私が……」

「写真撮ってあげようか」

「写真?」

「加工もできるよ、ホラ」


 あたしはアプリを立ち上げ、インカメラで見えるようにしながらお姫様を画角に収めた。液晶の中でキラキラと加工された自分を見たお姫様は大いにはしゃぎ、あたしのカメラロールには大量のお姫様が保存されたのだった。

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