第2話 食事
チキンがないなら、タマゴを食べればいいじゃない!
お姫様は空っぽのお皿を前に言いました。
パンもケーキもないことは知っています。
けれどニワトリももういないことは知りませんでした。
メイドは涙を流しながらお姫様に縋り付きます。
その手を払い除け、お姫様は叫ぶのです。
家畜がいないなら、××を食べればいいじゃない!
「姫さんはご飯は食べるのかい?」
「食べないわ。だって気持ち悪いもの」
「気持ち悪い?」
持ち帰ったうるさくて汚い塊は、庭の水道でざぶざぶ洗うとだいぶ綺麗になった。
それから風呂場に移動して、ぬるま湯と石鹸とで洗ってやると泥だらけのガビガビはキシキシの金髪になったし、煤だらけのガチガチはくりくりの碧い瞳になった。
あたしはトリートメントなんか使わないけど、今度ドラッグストアに行った時にはいい匂いのするやつを買ってもいいかなと思う。
部屋のベッドにお姫様を転がすと、あたしは気になっていたことを訊ねた。食事について。
身体がないのだし、食べないだろうとは思っていたけれど、気持ちが悪いとはどういうことか。
「食べないでくれって訴えてくるし、めんどうなのよ」
「へぇ、食事の必要がなくなってよかったね」
「それは、そうね。でもこれじゃあ全然気飾れないわ! ネックレスも指輪もドレスもなにも!」
どうやら安く済みそうだ。スカスカの財布を思い出し、あたしは少し安心した。
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